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第一話「それは大切な日常なの?」②

さて、先週からスタートして、第一話の ② になります。

いやあ、自分の昔の文章を読むという行為は恐ろしいものですね。
とはいえ、誤植がないかチェックしないわけにはいかず・・・。

先週の ① に、拍手してくださった方がいたのが救いです。
本当にありがとうございます・・・。

と、いうことで『続きを読む』より、
魔法少女リリカルなのはNightmare
第一話「それは大切な日常なの?」②
になります。






   

 時空管理局本局 最高評議会会議室

 初めてその場所を訪れた者ならば、そこを会議室と思うことはまずないだろう。それほどにそこは、異様な空間であった。
 地の存在が確認出来ないほどの深い闇。その中に浮かび上がる三つのモニターには管理局のエンブレムと、それぞれ左から「Ⅱ」「Ⅰ」「Ⅲ」のナンバーが添えられている。来訪者もまた、映像によってその場に姿を現す。
 どこに存在するのか誰も知らず、アクセス方法のみ局の中でもほんの一部だけが知っている。そんな空間。
 その常闇に突然現れた来訪者に、場は騒然となった。
「ジェイル、貴様!!」
「この半年間どこに隠れておったっ!!」
 室内は怒りの感情に満ち、その矛先は部屋の中心に立つ科学者を思わせる風貌の男、ジェイル・スカリエッティに向けられていた。
「一体何をそんなにお怒りなのか、こちらには皆目検討もつきませんね。私はただ定時報告に伺っただけなのですが?」
 知っていて惚けているのか、本当にわかっていないのか、その飄々とした物言いのせいで判断がつかない。確かなことは、彼が他人の感情を考慮に入れる可能性が皆無であるということ。
「ぬけぬけとよく言う・・・!」
「貴様のよこした新型、奇襲暗殺用だと言うから投入してみたらどうだ」
「小娘一人仕留められんではないかっ!!」
 そんなことか、とでも言うように肩をすくめるスカリエッティ。
「どんなに高性能であっても所詮は道具、最後はそれを使う者次第、と返答せざるをえませんね」
「おのれ貴様、我々を無能呼ばわりするか!!」
「誰のお陰で研究を続けられていると思っておる」
 あまり無駄に怒りを買うのもどうかと思い、両手を挙げて降参の意を示す。
「しかし興味深い。Ⅳ型で仕留められない魔導師ですか」
 スカリエッティの言葉に反応するかの様に彼の正面にモニターが出現する。
 そこに映るのはまだ年端もいかない幼い少女であった。先程の「興味深い」など舌先三寸の媚のつもりだったが、目の前の映像に目つきが変わる。狂科学者ジェイル・スカリエッティ、コードネーム「無限の欲望(アンリミテッド・デザイア)」の食指に触れたようだった。
「高町なのは。わずか九歳にして、PT事件、闇の書事件解決の立役者。この魔法時代に現れた『救世主』というやつだ」
「ほぉ、彼女が噂に名高い・・・」
 なるほど、と内心スカリエッティは納得する。
 最新型の試作機ガジェットドローンⅣ型を使ってまで、たった一人の少女を暗殺しなければならない、その理由を。
「しかしこやつは既に三提督派に取り込まれておる」
「我々にとっては禍々しき白き悪魔よ」
 プロジェクトFateの遺産であり、その名を冠する少女のことはずっと研究対象として観察してきた。
 その過程において彼らの言う「白き悪魔」、高町なのはの存在はある程度知るところであったが。
「我らの目指す理想の世界に、彼女の存在は必要無いのだよ」
『必要無い』でなく『邪魔』の間違いだろう、と科学者は心の中で一人ごちる。
「そういうことでしたら、こちらでも何かしらの対策を致しましょうか?」
 スカリエッティの提案は彼らの思惑とは関係無く、Fの遺産が肉親以外の大切なものを失った時にどういう反応を見せるか、ということへの純粋な好奇心からくるものであった。
「その件はもうよい」
「どういうことです?」
 これまでの話の流れからすると意外な返答。しかし、
「貴様の気に掛けるところではない」
 と、取り付く島も無い。
「それより例の人造魔導師適合素体はどうなっておる」
 自分たちは求めるだけで、与えることはしない。彼ららしい傲慢さだ、と思わず失笑が漏れる。
 まぁいいでしょう、とスカリエッティも本題に話を戻す。
「ゼスト・グランガイツはもうすぐ活動を開始出来そうですが、生命維持は持って十年といったところでしょう。アルピーノ親子はまだ少し時間を要しますが、こちらはより完成に近い形で仕上がりそうです」
 その科学者には、人の命というものに対する道徳観やそれに準ずるような考えは存在しない。あるのは研究とそれに対する結果と考察、それだけだ。
 時空管理局の最高意思決定機関である彼らが秘密裏に進めている『人造魔導師計画』。優秀な遺伝子を使って人工的に生み出した子供に、投薬や機械移植等を行って後天的に優れた魔導師を作り出す技術。その計画を飛躍的に前進させたのが生命操作技術において類稀なる才能を持つ天才科学者、ジェイル・スカリエッティなのであった。
 しかし彼が同時期に地上本部のレジアス・ゲイズ中将の依頼で進めていた『戦闘機人』計画も含め、これは倫理的な問題を孕んだれっきとした犯罪である。そしてその犯罪に時空管理局のトップが関与していることが明るみに出れば、組織そのものの社会的信用は地に落ち、彼らの目指す『より良き者によって統べられる理想の世界』への道は閉ざされる。
 稀代の天才科学者にして、重犯罪者である彼に未だ逮捕歴が無いのにはそういう裏がある。
 より良き世界へ辿り着くためには多少の犠牲はやむなし。その信念の元に計画を進める彼らにとって道を外すことを良しとせず正しきことだけを正しく行う、それが出来るだけの力を持つ『英雄』高町なのはは邪魔者以外のなにものでないはずだ。
 それを考えればなぜその件が『もうよい』のか疑問は残るが、彼にとってはそれはさして重要性のある問題ではなかった。彼にとって重要なのはあくまで『生命操作技術の完全なる完成』、それのみなのだから。

「ジェイルの最近の行動は少し目に余るな・・・」
 スカリエッティが定時報告を終えてその場から姿を消すと、会議の場も彼らの居室へと移る。旧暦の時代から生きてきた彼らには既に肉体は無く、脳だけが培養カプセルの中に保存されていた。
「聞くところによると、未だにレジアスと組んで『戦闘機人』なるものの開発を進めておるらしいではないか」
 そして、その戦闘機人によって地上部隊の一つが壊滅させられる事件が起こり、危うく計画の全てが明るみになるところであった。
「鎖に繋いでおくには少々手に余る、か・・・」
「しかし奴には我々の新たな魂の拠り所を作ってもらわねばならん」
 彼ら最高評議会が、禁忌を犯してまでジェイル・スカリエッティという天才を生み出した、その最大の目的。それは一度失ってしまった肉体を、もう一度手に入れることであった。残された時間も、もう、そう長くは無い。
「それすら叶えば奴はもう用済みよ」
「我々によって統べられる世界に、あのような出来損ないは不要だからな」
「手はずは整えておかねばな・・・」
 話が一段落したところで、タイミング良く一人の女性が姿を現す。
「失礼します、ポッドメンテナンスのお時間ですが・・・」
 評議会が自ら、管理局員の中から『厳選』し、自分たちの管理を任せている。
「お取り込み中でいらっしゃいましたか?」
「よい。丁度終えたところだ。始めてくれ・・・」
 評議会が心を許す、この女性こそがスカリエッティが送り込んだナンバーズのNo.Ⅱ、ドゥーエであることを、彼らは未だ知る由も無い・・・。


  ◆

 巡航L級八番艦 アースラ

 現在、次元の海を航行中の時空管理局の戦艦、アースラ。
 最近は特筆すべき大きな事件も起こっておらず、どちらかと言えばデスクワークの方が仕事の大半を占める。
 今日も世界は平穏無事。なによりだ、と艦長席に座りながらクロノは思う。
「今回は復帰後の初任務ということもある。現場の雰囲気やそこでの感覚を思い出してもらうという意味合いも込みで、簡単な捜査任務に―――って、何かあったのか?」
 二人のエース級魔導師を目の前にして今回の任務指令を行っているのは、現在アースラの艦長代行の職に就いているクロノ・ハラオウン・・・なのだが、部下たちのいつもとは違った様子に、毅然とした艦長代行の表情が身内に向けるそれに変わる。
 誰が見てもわかる程に不機嫌な表情のフェイト。困ったように時々フェイトの顔色を横目で伺うなのは。そして、いつもより人一人分くらいスペースの空いた二人の立ち位置。流石に朴念仁のクロノでも察しがつく。
「めっずらしー。二人でもケンカすることなんてあるんだねぇ」
 クロノの内心を代弁するのは管理局の名物コンビの片割れ、アースラの管制司令を勤めるエイミィ・リミエッタ。
「ケンカじゃありません」
 別に怒ってなんかいません、とでも言いたげなフェイト。
「そうなの? なのはちゃん?」
「えっと・・・どうでしょう・・・」
 苦笑いで言葉を濁すなのは。
 滅多に見られない珍しいこの状況、エイミィは完全に楽しむつもりでいる。クロノの後ろに控えていたはずがいつの間にかなのはの側へと歩み寄り、肩を組んで耳元で「で、原因は何?」とか「やっぱり浮気?」とか、囁きながらもフェイトの耳にも届くくらいの声量で語りかける。その一言一言に顕著な反応を見せるフェイトを逐一横目で確認する辺り、確信犯である。
「エイミィ」
「はーい」
 クロノの窘めによって名残惜しそうに引き下がるエイミィ。このまま放っておけば、根掘り葉掘り二人をいじることを楽しんだ挙句、事態を悪化させ兼ねない。
「二人の問題に、こちらから干渉するつもりは無い」
 どちらかと言えば、自身の相方に対する牽制を多分に孕んだこの発言に、エイミィは「ちぇっ」と唇を尖らせる。「ただ――」とクロノは続ける。
「君ら二人にあえて言う必要は無いとは思うが・・・、上官として一応言っておく。これは任務であり、場合によっては人の命をも左右する。私的な事情によってその任務に支障をきたすようなことは局員として決してあってはならないことだ」
「はい」と二人は上官の言葉に姿勢を正す。
「特にフェイト、君の今回の役割を忘れないでいてくれ」
「大丈夫だよ、クロノ。なのはのことは命に代えても私が守るから。それだけ変わらないよ。これまでも、これからも」
「フェイトちゃん・・・」
 なのはの熱い視線に気付いたフェイトは再びぷいと横を向いてしまう。『でも、それとこれとは別問題なんだからねっ』と念話で釘まで刺されてしまった。
「若干オーバーな気もするが・・・、まぁそれさえ肝に銘じておいてくれれば僕から言うことは他に無い。気を付けて行ってきてくれ」
「了解です。フェイト・テスタロッサ・ハラオウン、これより捜査任務に就きます」
 ぴっ、と敬礼をしてそそくさと艦長室を出て行った。
「高町なのは、同じく捜査任務に就きます・・・って、待ってよー、フェイトちゃーん」
 こちらは随分と締まらない敬礼をして、慌ててフェイトを追いかけて部屋を出て行った。何だかなぁ、とクロノは肩を竦める。
「クロノ君、うれしそー」
「そうか?」
 うん、と頷くエイミィに、公私の切り替えが出来ていないのは僕の方かもしれないな、とクロノは思う。
「こんな言い方もどうかとは思うけど、フェイトちゃん、随分と子供っぽくなったよね」
 未だ幼さの残る子供たちの出て行った扉を見つめるエイミィの視線は母のような慈愛に満ちている。
「ああ。あの頃からすれば別人だな」
 PT事件の際に管理局によって保護された当時のフェイトは、自我こそ持ってはいたものの歳相応の子供らしさというものが皆無であった。ただ一心に母の為に、母の愛を得る為だけに必死に生きてきたことの代償なのか。友の意味を知らず、親の愛情すら植えつけられた記憶で、彼女には愛とも呼べるその底の無い優しさくらいしか彼女自身の個性がないようだった。
 当時の彼女の一挙手一投足が自分たちに心配を掛けまいとする故の行為だったようにも思えた。どうしてあげられるわけでもなく、当時は随分とはがゆい想いをしたものだ。
「ホントになのはちゃんがいてくれて、助かったよねー」
 ・・・全くだ、と内心同意する。
 自分や、エイミィ、母となったリンディでも無く。きっと今のフェイトの生きる意味、その殆どを占める高町なのはという存在。
 最初は敵同士から始まった、二人の関係。
 戦闘の形式から性格まで、何もかもが違う二人だけれど。
 何かが、似ている。
 その『何か』を言葉にして表現することは難しいが、二人を知るものならば誰もがこの意見には首を縦に振るに違いない。周りですら感じたことだ。当人たちはもっと強くそのことを感じているだろう。きっと二人は『友』という範疇を超えて、心の奥の奥、それくらい深いところで繋がっている。
 生涯の心の伴侶、とでも言うべきものなのだろうか。
「本当にフェイトちゃんの周りは良い子ばかりだね」
 なのはの友人たち、アリサ、すずか、はやてもまた、フェイトのような子にとっては随分と有難い存在であったように思う。類は友を呼ぶのだろうか。あの歳にして、あそこまでしっかりした子たちはそうはいない。少なくともあの年齢だった頃の自分はもっとろくでもない子供だったと記憶している。フェイトのことを深く詮索することもせず、ただの女の子として、友達として、迎え入れてくれた。妹にとってはきっと生涯においてかけがえのない財産となったはずだ。
「そう・・・だな」
 少しだけ言葉を濁す、その心中を悟ったのか、
「がんばってね、お兄ちゃん」
 しかし、その声には若干のからかいも含まれていて。
「・・・その呼び方はよしてくれ」
 背後からでも、耳の色からその表情は想像に難くない。


(第一話 ③ に続く)


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高町屋は「魔法少女リリカルなのは」の二次創作を行う創作集団です。【Since 2008.11】

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≪MEMBER≫
高町きよ:高町屋代表。企画・二次原案担当。とにかく筆が遅い。ふと気が付くと、脳内ではなのはとフェイトがいちゃいちゃしている。

木村由宇:高町屋絵師。HP管理人。振り回される方。苦労人。気が付けば一番精力的。どんなに忙しくても締め切りはちゃんと守る。見習え、代表。

幼専士タチバナ:真性のロリコン。ここ最近の高町屋の影の功労者。事務能力皆無の代表をサポートすべく、イベント参加率は絵師より高いかも。

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