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第二話「すれ違う二人の想いなの」①

早い!
もう一年の四分の一が終わってしまった!!
時間とは・・・。

ということで『続きを読む』より、
魔法少女リリカルなのはNightmare
第二話「すれ違う二人の想いなの」①
になります。


 気が付くと、深い深い闇の中にいた。
 眼を開いている自覚はあるのに、視覚に入るものは何も無い。己の姿すらも確認することができず、自分が魂だけの存在になってしまったような錯覚に陥る。
 時間と共に、不安が大きくなっていく。

『・・・怖い?』

 ふいに、何処からともなく声が聞こえてくる。
「だ、誰!?」
 聞き覚えの無い声は更に不安を煽る。
 ひゅっ、と何かが頬を掠める感覚。じわりとした熱さを帯びて、つぅと一筋、頬を伝う。・・・血の、感覚。
 声が出ない。
 息が苦しい。
 全身が恐怖に震える。
 膝が崩れ、その場にぺたんと座り込む。
 そして――
 静寂を破る轟音。
 襲い来る衝撃に、全身がまるで人形のように吹き飛ぶ。
 再び、訪れる静寂。聞こえるのは、ひゅぅ、ひゅぅ、という自分の細い息。
 ゴキリ、と鳴ったのは自分の骨であることを激痛の波によって思い知る。
 その後も、理不尽な暴力と恐怖は不定期に、無慈悲なまでに容赦無く襲いくる。
 段々と、意識が。意識が、遠のいていく。
 嫌だ。こんなところで、こんなところで死にたくない。
 誰か、誰か―――

『誰も、助けになんて来ないよ』

 また、さっきの声だ。
 一切の感情を含まないその声は、まだ心の中に残っていたほんの少しの希望をいとも簡単に揺るがしてしまう。絶望が、すぐそこまで迫ってきている。
「そんなこと・・・・・・ない」
 震える声でも、言葉にしないと、自分に言い聞かせないと、直ぐにでも闇に呑まれてしまいそうだった。

『フェイトちゃんが、助けにきてくれる?』

 無機質な声に、感情が生まれた。嘲笑、という名の感情。
 呼吸が、止まる。
 呼吸の仕方が、わからない。
 故障したかのように激しく脈を打つ心臓の音しか、聞こえない。
 何も、考えられない。
「ち、・・・違う・・・・・・ちがう・・・そう・・・じゃない・・・・・・」
 今、心の拠り所を知られてしまうのはまずい、と思った。
 それすらも否定されてしまったら、自分にはもう、縋るものが、何も・・・ない。
 否定しなければ・・・。否定されないために。
 しかし、絶望的なほどに、全ては筒抜けで。

『じゃあ、待ってみようか。フェイトちゃんが助けに来てくれるのを』

 そして、向かい来る悪意は、更に激しさを増した。それは怒気を孕んでいるかの如く熾烈さであった。
 激しい衝撃と共に、吹き飛ばされた先は水の中。空気を求めて水面を目指そうとすればするほどに、より深みへと引きずりこまれる。
 ふっ、と意識が遠のくと、無理矢理引き上げられ、咳き込んでいるところで今度は首を絞められる。嘔吐感が込み上げる。
 決して気を失うことを許してはくれなかった。必ずその寸前で、意識を保たずにはいられない何かしらの苦痛が襲いかかってきた。
 これを地獄というのかも知れなかった。

 どれほどの時をそうして過ごしたのだろうか。
 もう、意識があることしか、わからない。
 どこまでが自分で、どこからがこの暗闇なんだろう。
 随分と、自分が空虚で朧げな存在になってしまったように感じる。

 こんなにボロボロの体じゃあ、もうお嫁にはいけないなぁ。
 フェイトちゃん、遅いなぁ。

『フェイトちゃんは、来ないよ』

 その声はまるで、自分を諭すかのような優しさを持っていた。わがままを言い続ける子供を、説得する母の如き慈愛。
 その暖かさは、じんわりと沁みて、心に響く。もしかしたらそうなのかもしれない、と思った。
 心が篭絡された、という自覚はあった。
 でも、それでもよかった。




 眼を開くと、そこは自分の部屋。
 カーテンから漏れた朝日が、不快なほどに今日と言う日が快晴であることを物語る。
 パジャマは汗で肌にべっとりと纏わりついて、とても気持ち悪い。
 そして、やはり。
 また何も、覚えていない。
 震える体、零れ落ちる涙、・・・叫びたい衝動。どれ一つとして、その理由が分からない。
 そんな中、ただ無意識に一言だけ、ぽつりと零れ落ちた言葉。

「・・・・・・嘘つき」




  第二話 すれ違う二人の想いなの


 五人で囲むテーブルの上には、お菓子やジュースが散乱している。
 年に二回しかない執務官試験を明日に控え、今日はその激励会をしようということになり、フェイトの家に友人一同が集結していた。一夜漬けで結果が変わるような試験ではないので、前日ともなるともはやリラックスくらいしかすることがない。
「二回も落ちたんだから、流石にもう大丈夫よね?」
「そう、思いたいんだけど・・・」
 合格率が15%を切る執務官試験。一般的に考えれば二回の失敗は普通とさえ言える。
「あんまりプレッシャーかけてもあかんて」
「そうだよ、アリサちゃん」
「何よ、すずかまで。フェイトは緊張してるの?」
「今はまだ、そんなに・・・。でも直前になれば、ちょっとどきどきする・・・かも」
「そうなんだよね。思ったより緊張しないなー、なんて思っても10分前くらいから凄くドキドキし始めることってあるよね・・・」
 フェイトとすずかはお互いを見てうんうん、と頷きあう。
「はやては緊張とかしなさそうだよね」
「・・・フェイトちゃんが私のことどう思ってるか、よぉわかったわ・・・」
「ち、違うよはやて! 何か勘違いしてるよ!」
 落ち込むはやてに慌てるフェイト。
 いつも通りの盛り上がりを見せているようで、何かが足りない会話。
 何かがいつもと違うのに、みんな気付かない振りをしている、おかしな雰囲気。
 アリサは横目で、なのはの様子を伺う。
 彼女は笑顔で会話を見守って、それに加わろうとはしない。
 楽しい? と聞かれれば、「うん、とっても楽しいよ」と答えるに違いない。
 その笑顔が場の雰囲気を乱さないための作り物であることなんて誰の目にも明らかだったが、それはその場にいる誰にも、どうしようもないことだった。
「そういう時は楽しいことを考えるのよ!」
 やるせない気持ちを払拭するかのように、声高らかに拳を突き上げる。空元気だな、と自分でも思う。
「楽しいこと?」
 首を傾げるフェイトに、よくぞ聞いてくれましたとアリサが上げた拳を前に突き出す。
「そう。明日の夜はクリスマスパーティー兼、フェイトの合格前祝いよっ!!」
 ハラオウン宅のリビングも、既に来たる明日のクリスマスイヴに向けてクリスマスツリーやリースが飾り付けてあり、準備は万全といった感じである。
「ちょっ、アリサちゃん・・・気が早いよ」
「いいじゃない、別に。それで結果が変わる訳じゃ無いんだし、みんなで楽しくぱーっとやりましょ」
「ありがとう、アリサ」
 フェイトの純粋な眼差しが眩しい。アリサは顔を背けて「・・・アンタの合格祝いなんてついでよ、ついで」と呟いた。冷やかすような、すずかとはやての微笑みの視線を咳払いで一蹴する。
「じゃあ乾杯前に一言ずつ。・・・落ちたりなんかしたら、許さないんだからねっ」
「が、頑張ります・・・」
 アリサ特有の叱咤激励に、みんなちょっと苦笑い。仮に試験に失敗したとしても、責める者などいないことはここにいる誰もがわかっているのだけれど。
 また咳払いをして、「じゃあ次すずか」とバトンタッチ。
「私たちがフェイトちゃんにしてあげられることって、ほとんど無いのかもしれないけど、夢に向かって頑張ってるフェイトちゃんのこと、私たちみんな応援してるから。フェイトちゃんの助けを待ってる人たちのためにも、明日は絶対最後まで諦めちゃダメだよ」
「うん、すずかの言葉、最後まで忘れないから」
 はい、はやてちゃんの番。と、振られたものの「なんや、すずかちゃんの後はちょおやりづらいな・・・」と頬を掻くはやて。
「えー、執務官は私の野望にどうしても必要な人材です。野望の詳細はまだ秘密やけど、とりあえずその一端をフェイトちゃんに担ってもらえたら嬉しい。っちゅうことで明日はよろしくな、フェイトちゃん」
「えと・・・、よろしくお願いしま・・・す?」
 最初から考えていたのか、開き直ったのか。応援ともつかないような、はやての発言に困惑するフェイト。というか、さらりと危険発言。
 いつもならここでなのはがラブい一言で閉めるはずなのだが、一向にその気配が無い。
 続く静寂に、それまで誤魔化してきた歪んだ雰囲気が姿を現す。みんな気まずくて、俯いてしまう。
 ずっと沈黙を保つなのはに業を煮やすアリサ。
「ほら、なのは、あんたからも何かないの?」
 急に話を振られたなのははフェイトに視線を合わせようとして、でも出来なくてを繰り返して、ようやくよそよそしく喋り出した。
「えと・・・、私が言えた義理じゃないかもだけど・・・頑張ってね、フェイトちゃん・・・」
「うん・・・ありがとう、なのは・・・」
 今の二人ではこれが限界かなと諦めてアリサはグラスを手に取った。「じゃあ最後に、主賓から一言」と付け加える。視線がフェイトに集まる。まるでさっきの悪い雰囲気を無かったことにでもするかの様だった。
 フェイトは瞳を閉じて、すぅと一呼吸。そして静かに目を開ける。
 その瞳には、強い意志が感じられる。
「こういう会を開いてもらっておきながら、こういうことを言うのはとても心苦しいんだけど、明日の執務官試験は私にとって、そんなに大きな意味は無いんだ」
 予期せぬ発言に聞き手は少しざわめくが、フェイトは構わずに続ける。
「確かに独自の判断で動けるようになるのは大きいけど、することはこれまでと変わらない。私は、困っている人たちを、助けを求めている人たちを助けたいだけなんだ。別に執務官という肩書きが無くたって、クロノっていう頼れる上官が的確な指示と許可をくれるし。もし今回がダメだったとしてもまた次の機会があるから。でもまぁ落ちるつもりもないですけど」
 みんなきょとんとしている。ここまで饒舌なフェイトは珍しい。
「なので、明日の結果でフェイト・テスタロッサ・ハラオウンが一喜一憂するようなことはありません」
 言い切って、えへん、と胸を張るフェイト。
「またえらく吹っ切れたなぁ・・・」
「フェイトちゃん、かっこいい・・・」
「はっ、上等じゃない。アンタのそういうとこ、好きよ」
 テンションが上がったアリサは、立ち上がってグラスを高く掲げた。
「それじゃあ、明日のフェイトの健闘を祈って・・・かんぱーい!!」
 『かんぱーい』の掛け声と共に、触れ合うグラスが心地よい音色を響かせる。
 ちょっと気まずそうに、お互いを見て苦笑いするなのはとフェイト。

 どうして、こんなことになってしまったのか。
 ここにいる誰もこんな未来になるなんて、予想もしていなかった。信じた未来は、もっと幸福な今だったはずなのに。

 一体いつからだったのだろう、歯車が狂い始めたのは・・・。


(第二話 ② に続く)

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高町屋は「魔法少女リリカルなのは」の二次創作を行う創作集団です。【Since 2008.11】

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高町きよ:高町屋代表。企画・二次原案担当。とにかく筆が遅い。ふと気が付くと、脳内ではなのはとフェイトがいちゃいちゃしている。

木村由宇:高町屋絵師。HP管理人。振り回される方。苦労人。気が付けば一番精力的。どんなに忙しくても締め切りはちゃんと守る。見習え、代表。

幼専士タチバナ:真性のロリコン。ここ最近の高町屋の影の功労者。事務能力皆無の代表をサポートすべく、イベント参加率は絵師より高いかも。

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