↓↓夏コミの新刊 『とらのあな』で通販中!! ↓↓                    

nightmare1 nightmare1 nightmare1 nightmare1 nightmare1

(クリックで通販ページに飛べます!)


第五話「それは望んだ世界なの?」⑤

一年ぶりの帰省中。
特にこれといってすることもないので、
日々妄想して過ごす。
人としてどうだろうか。

ということで『続きを読む』より、
魔法少女リリカルなのはNightmare
第五話「それは望んだ世界なの?」⑤
になります。





   

 あれから数日が経ち、リンディ提督に呼ばれた私は、とある個室のソファに腰掛けていた。目にゴミでも入ったのだろうか。目の前に座る提督とクロノはいつもより少しだけ目が赤いように感じる。
 どうやら、なのはの容態は少しずつ回復に向かっているようだった。
 日に増して、少しずつなのはの側にいられる時間が減っていたけど、それはなのはの症状が珍しいせいでちょっとだけ検査や治療が増えたせいなんだ。
 皆も私に、なのははもうすぐ良くなるよって言ってくれる。そんなに私、不安そうな顔してるかな? なのはが元気になるのなんて、当然なのに。
 だって、なのはがいなくなるなんてこと、あるわけがないのだから。クリスマスにした約束も未だに果たせていないのに、目を覚まさないなんて。なのはは約束を破ったことなんて一度もないんだよ?
 クロノが、リンディ提督が、私の目を真剣に見つめ、一つ一つ、言葉を選びながらゆっくりと私に何かを説明してくれている。
 ―――聞こえない。何も、聞こえない。
 早く、早くなのはのところに行かせてよ。
 ようやく解放された私は、なのはのもとに急ぐ。最近は中々会えないから、少しでも一緒にいられる時間を、長く。
 今日のなのはは、少しいつもと様子が違っている。そうか、ごてごてと取り付けられていたものが全て取り外されているんだ。ひょっとしたら、容態が完全に回復したのかも。さすが、なのは。
「なのは、久しぶりだね。あんまり来られなくてごめん。でも、今日はずっと一緒にいられるから。だから安心し・・・」
 握った手の冷たさに、目を背けていた現実が押し寄せる。
 どんなに自分の熱を分け与えても、決して温まることはないと。
「なのは・・・、やだよ・・・」
 うそだよね? こんなの、うそだよね?
 早く目を覚まして、「びっくりした?」って言ってよ。
 いつものあの天使のような笑顔を見せてよ。
 優しいあの声で、私の名前を呼んで・・・。
 どうして? どうしていなくなっちゃうの?
 私、わからないよ、なのは。
 君のいない世界で、私はどうやって生きていけばいいの?
 ・・・・・・違う、そうじゃない。なのはのいない世界に私の居場所なんてない。
 君のいない世界で、私は生きられないんだよ。
 お願いだよ、なのは。
 置いてかないで。
 私を、一人にしないで・・・。




   ◆◇◆


「今日もすごかったね・・・」
 部屋に戻るなり、フェイトちゃんは眼が笑っていない苦笑いを浮かべる。
「にゃはは・・・」
 その渋い表情に、私も苦笑して誤魔化すことしかできない。
 自分で言うのもどうかと思うけど、あの一件以来、どうやら私はヒーローになってしまったようだ。・・・・・・いや、ヒーローというか・・・、あれはもうアイドル・・・というものなのかもしれない。・・・・・・やっぱり自分で言うのは違う。絶対違う。
 あの一件の次の日。次から次へと取材に継ぐ取材。偉い人との会合。とにかくどこでも持ち上げられて、私の発する言葉の一つ一つに皆が頷き、感動しているようだった。何だか凄く気持ちの悪い一日だった。
 あれで、終わりなんだと思っていた。あの一日がピークで、段々といつもの日常に戻っていくのだと思っていたのに。次の日、本局に出向いたときのことだ。入り口にマスコミとは違う人だかりが出来ていて、何かあったのかと思ったら、その人だかりが私に気づくやいなや、黄色い悲鳴を上げて迫ってくるではないか。私は逃げることも出来ずにもみくちゃにされて、警備員さんに救出された。まさか、マスコミの恐ろしさを体験する日が来ようとは・・・。迂闊に外を出歩けなくなってしまった。芸能人みたい。
 あれから随分と時間が経ったけど、熱は未だに冷めやらず、出待ちやら、ファンレターやら、プレゼントやらが凄い。
 最初こそぶすっとしていたフェイトちゃんも、最近はもう慣れたよ、という態度をとっているつもりなんだろうけど、怖い。表情に表れないと返って怖い。
 貰った手紙を開こうと手を掛けると、そこにフェイトちゃんの手が重なる。
「開けちゃやだ」
 これが日常茶飯事になっていた。私がファンの子から貰ったものに触れようとすると、必ずフェイトちゃんは一度は私を止めようとするのだ。
「ごめんね、フェイトちゃん。でも、くれた人に悪いから・・・」
 困ったようにそう言うと、引き下がってはくれるのだが、恨めしそうに眺められながらの作業は本当に居心地が悪い。時々聞こえてくる「浮気だ」とか「嘘つき」という囁きがちょっと怖い。
 ファンレターに一通り目を通しながら、私こんな人間じゃないんだけどなぁ・・・といつも思う。マスコミの影響なんだろうけど、私の人格が一人歩きして、完全に別な「高町なのは」さん宛ての手紙になっている。
「フェイトちゃん、そんなに睨まなくてもフェイトちゃんが心配するようなことは何もないから。いつも言ってるでしょ?」
「だって・・・。みんながなのはを好きになる気持ち、わかるから。不安だよ・・・」
 私は、フェイトちゃんが言うほど魅力的な人間だろうか。百歩譲って私がそういう人間だとしても、その魅力はきっとフェイトちゃんしか知りえないと思う。それって何だかとても特別なことな気がする。
「ホントの私を知ってるのは、フェイトちゃんだけだよ」
 彼女を抱き寄せて、そっと耳元で囁くと、フェイトちゃんはぎゅっと私を抱きしめ頭を縦に振った。
「ねぇ、なのは」
「なぁに、フェイトちゃん」
 彼女は急に私の胸元を離れ、真剣な眼差しで見つめる。
「ずっと・・・、ずっと一緒にいようね」
「・・・・・・どうしたの、いきなり?」
 思いつめたような切迫した表情を見せるので、こちらまで不安になってしまう。
「わかんない。でも急に不安になって・・・。なのはが、なのはがいなくなっちゃうんじゃないか、って・・・」
 急に何を言い出すのかと、私は胸を撫で下ろす。
「もぉ、フェイトちゃんってば。フェイトちゃんは私の側から黙っていなくなったりしないでしょ?」
 こくこくと頷く。
「だから、大丈夫」
「うん・・・」
 それでもフェイトちゃんの表情は晴れない。
 それはきっと私のせい。フェイトちゃんがこれだけ私のことを大切に想ってくれているのに、私は彼女のために、何も出来ていない。それどころか、不安にさせてばかり。
「不安がなくなるおまじない、しよっか」
 あの時に拒んでしまってから、ずっとタイミングが掴めずにいた。でも今がきっとその時。言葉だけじゃ伝わらない、何か。それだけが彼女の不安を晴らしてくれるのかもしれない。
 フェイトちゃんが静かに瞳を閉じる。
 そう、これでいい。これでいいんだ。

 彼女に触れる、その刹那。


 ―――なのは。

「・・・・・・え?」
「どうしたの、なのは?」
 そんな私の動揺を感じたか、フェイトちゃんが心配そうに私を見る。
「・・・。ううん、なんでも、ないよ」
 誰かに、呼ばれたような気がしたがきっと気のせいだ。


 ―――ねぇ、なのは。

 それはとても久しぶりで、辛くて、切なくて、それでもやっぱり嬉しい。そんな感情が胸の中に溢れる。
 でも、違う。こんなのは、気のせい――
「私に、呼ばれた?」
「・・・・・・えっ?」
 フェイトちゃんは一体、何を言っているのだろう。
「そっか。そうなんだね・・・」
 沈黙を続ける私に、何故かフェイトちゃんは全てに気づいたかのように言う。
「行かなきゃ、・・・・・・ね?」
 どうして、そんなこと言うの。
「・・・・・・私、ここにいる。だって、フェイトちゃんが・・・」
 目の前にフェイトちゃんがいる。私はそれだけでいいのに。
「なのは、ずっと前から気付いてたんだね。これが本当じゃないって」
 わからない、わからないよ。
「なのははもう、進まなきゃいけない。本当に辛いのは、これからだから」
 フェイトちゃん、何を言っているの?
「でも、なのはならきっと、切り抜けられる」
「待って、フェイトちゃん! さっきから全然意味がわかんないよっ!!」
「ダメだよ、なのは。逃げちゃだめ」
 我侭を言う子供を宥めるようにフェイトちゃんは続ける。
「なのはは選ばれたんだよ。なのはの心の強さは、きっと世界を変えられる」
 そんなのどうだっていい。世界なんて、どうでもいい。フェイトちゃんの側にいられれば。
「なのはは・・・・・・ここにいちゃいけないんだよ」
 ずっと側にいて、って言ったのに。
「嫌だっ、フェイトちゃん、きっと絶対寂しがるもん!!」
 変わった世界に貴女がいなければ、私にとってその世界は何の価値も無いのに。
「私は大丈夫。だって・・・」
 彼女は私の頬をそっと撫でた。
「私は、フェイト・テスタロッサだから。なのはの幸せを、誰よりも願う者だから」
 ずるい。それはずるいよ、フェイトちゃん。
「・・・フェイトちゃんは、・・・・・・フェイトちゃんは寂しくないの?」
「寂しいよ。なのはのいない世界じゃ、私はきっと生きていけないもの」
「だったら・・・」
「それでもいいの。なのはが幸せになってくれるなら」
 そっと、頭が彼女の膝の上に導かれる。
「目を閉じて・・・」
 私は、静かに視界を閉じる。
 髪を流れるようにゆっくりと撫でてくれていた。何度も、何度も。その懐かしい感覚に、少しずつ意識が薄れていく。
「大丈夫。眼が覚めても、私はきっとあなたの側にいるから・・・」
 歌が、聞こえる。優しい、歌が。
 まどろみの中で、私はひたすらに繰り返していた。

 ――ごめん、ごめんね、フェイトちゃん・・・。



   ◆◇◆

 ・・・・・・一体どれくらいの時間を眠り続けていたのだろうか。数週間、それとも数ヶ月? そう思わせるほどに、再び意識を取り戻しつつある私の意識は朦朧としていた。再び闇に落ちそうになる意識を頑張って保ち、やっとのことで少しだけ開けた視界も霞んでいて、世界を捉えられない。
 何となく懐かしい感覚があった。何がそう思わせるのか、そんな意識の中ではよくわからなかったけど、少しずつそれが左手にあるのだとわかってきた。
 そうか、また私は貴女の手に導かれていたんだね。
 あぁ、また泣かせちゃったね。二度と、泣かせたりなんてしないって決めたのに。・・・・・・ごめんね。ダメだな、私。
 どうして、こんな長い時間を眠り続けていたのか。
 ・・・・・・何も、思い出せない。
 ちゃんと謝らなくちゃ。本当にいっぱいいっぱい、心配掛けちゃっただろうから。
 それでも、フェイトちゃんの顔を見たら安心した。
 何故か、彼女の顔を一度見ておかなければならない気がしていたから。
 安心したからだろうか、私の意識は再び薄れていった。

 目が覚めれば、また彼女に逢える。
 そう。大好きなフェイトちゃんに、また逢えるんだ。



(第六話 ① に続く)


スポンサーサイト
拍手する

テーマ : 魔法少女リリカルなのは
ジャンル : アニメ・コミック

コメントの投稿

非公開コメント

FC2カウンター
プロフィール

高町屋

Author:高町屋
高町屋は「魔法少女リリカルなのは」の二次創作を行う創作集団です。【Since 2008.11】

↓↓↓リリカルなのはの二次創作、同人活動をしている方、マイミク/マイピク募集中です。お気軽にどうぞ♪mixi pixiv Dolce

≪MEMBER≫
高町きよ:高町屋代表。企画・二次原案担当。とにかく筆が遅い。ふと気が付くと、脳内ではなのはとフェイトがいちゃいちゃしている。

木村由宇:高町屋絵師。HP管理人。振り回される方。苦労人。気が付けば一番精力的。どんなに忙しくても締め切りはちゃんと守る。見習え、代表。

幼専士タチバナ:真性のロリコン。ここ最近の高町屋の影の功労者。事務能力皆無の代表をサポートすべく、イベント参加率は絵師より高いかも。

カレンダー
10 | 2017/03 | 11
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
pixiv
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
ブログランキング
FC2ブログランキング
サイトについて
※高町屋は「健全系」小説・漫画サークルを自称しています。本サイトでは成人向けは取り扱っておりませんが、なのはとフェイトがとてもとても仲良くするような表現が多々見られますので、そういったものはちょっと・・・という方は、ご覧になるのをお控えになったほうがいいかもしれません。
カテゴリ
リリカルプリキュア(2)


【長編】魔法少女リリカルなのはNightmare(59)
  第十三話
  第十二話
  第十一話
  第十話
  第九話
  第八話
  第七話
  第六話
  第五話
  第四話
  第三話
  第二話
  第一話

SS(7)
  ぷろぽーず ぱにっく!⑦
  ぷろぽーず ぱにっく!⑥
  ぷろぽーず ぱにっく!⑤
  ぷろぽーず ぱにっく!④
  ぷろぽーず ぱにっく!③
  ぷろぽーず ぱにっく!②
  ぷろぽーず ぱにっく!①
(ViVidとForceの間?/なのは、フェイト、ヴィヴィオ)
  きねんび(後編)
  きねんび(前編)
(A's/なのは、フェイト)
  じぇらしー
(ちゅーなの/なのは、フェイト)
  わたしのままとまま
(StS/なのは、フェイト、ヴィヴィオ)
  わがまま
(A's/なのは、フェイト)
  ぱぱ?
(StS/なのは、フェイト、ヴィヴィオ、機動六課)

漫画(22)
  勉強会⑦+⑧
  勉強会⑥
  勉強会⑤
  勉強会④
  勉強会③
  勉強会②
  勉強会①
  わがまま
  今は反省している。
  休日の過ごし方②
  休日の過ごし方
  戦場では一瞬の判断の遅れが死を招くんだ!
  共働きの核家族でありがちな風景
  間接キス⑤+⑥
  間接キス④
  間接キス③
  間接キス②
  2時間15分59秒。
  たしなみ
  虫刺され?
  またふーふー
  ふーふー

絵(20)
  ぜくしぃ!
  40000hit記念!!!
  ViVid連載開始記念!
  高町なのはで表情練習
  甘えんぼなのはさん
  SAI購入記念?
  10000hit記念!!!
  らくがき11
  あけましておめでとうございました。
  メリクリ②
  メリクリ①
  らくがき10
  らくがき9
  らくがき8
  らくがき7
  らくがき5
  らくがき4
  らくがき3
  らくがき2
  らくがき1
リンクについて

※当ページはリンクフリーです。バナーは以下のものを使用してください。

(http://takamachiya.web.fc2.com/banner.jpg)

リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

NxF Union

当サイトは『NxF Union -なのフェイ同盟-』を応援しています。

BBS&別館

bbs
bekkan

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。