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第十話「雷光と烈火と」⑤

心機一転、引っ越しました。
が、荷ほどきと片付けがしんどい。
居住空間と呼ぶにはまだ程遠い・・・。

第十話はここまでになります。
次週より、第十一話「黄昏の騎士」
に移ります。

ということで『続きを読む』より、
魔法少女リリカルなのはNightmare
第十話「雷光と烈火と」⑤
になります。





 先に動いたのはフェイトだった。
 二本の剣から絶え間なく繰り出される斬撃には、一瞬たりとも隙がない。それはまるで舞いをしているかのような美しさであった。それ程に、隙というものが無かったのだ。
 シグナムは完全に防戦に徹さざるを得なかった。無理に攻撃に転じようとすれば、逆に相手につけ込まれてしまうことは目に見えていた。
(まさか、これほどとはな・・・)
 焦り以上に、シグナムは感心していた。
 一差しの刀では補い切れなかったところを、上手くもう一つの刀でフォローするどころか、更なる攻撃へと進化させている。彼女のスピードを持ってして、この二刀流。これならば自分でも捌くのが精一杯かもしれない。・・・いや、既に目で追えない攻撃も増えてきている。攻撃の流れと彼女の癖、長年の勘を総動員して何とか凌いではいるものの、いずれそれも限界が来るだろう。
 未熟で荒削りの部分は多いが、かつての戦友であった眼前の少女の強さは、ここで一つの『完成』を向かえたのかもしれない。と、シグナムは思う。
 戦うことを生きる糧としてきた自分にとって、その瞬間に立ち会えたこと、そして自分が認めた強者によって討ち果てることが出来ることはとても幸運なことなのではないか、とも。
 それならば自分は、この命を燃やし尽くすほどの一撃を。
 その一撃をもって、我が最高の好敵手への礼とする。
 覚悟を決めて、その瞬間を模索するシグナム。
 しかし、そんな彼女の覚悟は―――
「・・・・・・もう、やめませんか。シグナム」
 突然攻撃を中断し、距離を置いてそう告げられた。
「貴様、何を言っている」
「・・・・・・出来ることならこんな形で、貴女を討ちたくはありません」
 フェイトは必死に訴える。
「はやてが悲しみます。この決意をわかってもらえたなら、私たちのことを・・・」
「ふざけるなっ!!」
 怒号に遮られ、フェイトの願いが最後まで語られることはなかった。
「・・・・・・貴様の犯した過ちが二つある」
 一転して感情を押し殺したような淡々とした口調。
「この私に情けをかけたこと、そして」
 彼女自身は気が付いていないのだろう。
「自らの決意を否定したことだ」
 彼女の手にした強さは本物であったかもしれないのに、その強さは彼女自身の手によって偽りとなってしまった。
 これ以上の侮辱と裏切りがあるだろうか。シグナムは腹の底から湧き上がってくる感情を抑えながら、剣を鞘へと収め、構えを取る。
「掛かってくるがいい。覚悟無き者に、切れるものなど何も無いことを教えてやる!!」
「・・・・・・残念です」
 フェイトも再び、二刀流を構える。
 ばちんっ!! と一瞬、互いの刃が交錯する。
 その直後、一撃をもらって大きく後退したのはフェイトであった。
 そして、からんからん、と乾いた金属音が響く。
 抜刀からの紫電一閃。それを受け止めた右手のライオットが、衝撃によって弾き飛ばされてしまったのだ。そして、がら空きの右脇腹に蹴りがめり込んだ。
 ソニックフォームの装甲など、あってないようなもの。このダメージは生身に受けたに等しい。
 スピードと手数に勝る二刀流であるが、重い一撃との衝突には不向きである、と既にシグナムはその弱点を見抜いていた。故にあのまま攻めきらなかった時点で、優劣は逆転してしまっていたのだ。
「脆いな。所詮貴様の覚悟などその程度か」
 己の優位を確信していたフェイトには、明らかな動揺が見られる。
「紐でもつけておいたらどうだ?」
 その一言が、数年後に完成を見る真のライオットブレードに影響を与えたのかもしれない。
「拾え」
 シグナムは自ら構えを解く。
「全力の貴様を完膚なきまでに叩き潰す。そうすることでしか私の怒りは治まらん」
 悔しいが片方を欠いた状態で、この状況を凌げる自身も作戦も有りはしない。双方のリンクによって、弾き飛ばされた片割れを再び手元に召還する。
 それを見届けて、彼女は再び構えに入った。
 その射るような眼光が、次は無い、と言っている。
 フェイトは、攻めあぐねていた。
 次に剣を弾かれるようなことがあれば、さっき脇腹を捉えた蹴りは刃へと姿を変えて、自分を切り裂くだろう。
(隙を見せたら・・・・・・やられる)
 双方構えたまま、一歩も動かず、緊張の時が続く。
 仕掛けたのはシグナムの方からだった。互いの剣の衝突に、火花と魔力の残滓が飛ぶ。
 最初の一撃を両方の剣でしのぐところから始まり、先程までとは打って変わってフェイトは守りに徹していた。自分から仕掛けることが出来ないのだ。
「さっきまでの自信はどうしたっ! まさかあれで終わりではあるまい!!」
 その挑発に答える余裕すらフェイトには残されていなかった。
「貴様の浅はかな行いがっ! どれだけの人間を悲しませたのかわからんのかっ!!」
「くぅっ!」
 怒号と共に彼女の両手から光の剣が弾き飛ばされる。
「・・・・・・つまらん」
 シグナムはそう吐き捨て、己の刀を鞘へと収めた。
「剣は心を映す鏡。迷いで曇る貴様の剣など、もはや切る価値もない」
「私はっ! 迷ってなんてっ・・・」
「逃げるな!! テスタロッサ!!」
 フェイトは言葉を失う。
「お前の、高町なのはへの想いは、そんな安っぽいものだったのか!!」
「・・・っ! そんな・・・ことっ」
 もう、反論することすらままならない。
「・・・・・・今からでも遅くはない。戻ってこい、テスタロッサ。皆、想いは同じなんだ」
 その言葉は、疲れ切っていた彼女の心に、優しく響く。
 心が、揺らいだ。
 私、どうすれば・・・。そう口に出掛けた時。

 ―――悪夢が、始まる。

 バインドによる突然の拘束。
 そして間を置かず、驚く表情のままで、烈火の将は空から降り注ぐ光へと呑み込まれた。
「シグナムっ!!」
 私は声の限りに叫んでいた。
 それは求めていた安らぎが遠ざかっていくことへの悲鳴であるのかもしれなかった。
「フェイトちゃん、一体・・・何をしているの?」
 その桜色の魔力光が、声が、全てを否定させてくれなくて。
「・・・・・・なのは? か、体は・・・大丈夫なの?」
 飛び寄った遙か上空に佇む彼女は、いつもの純白の法衣に身を包んでいた。
 身体のことを気遣う振りをしてまで、私は何を誤魔化したいのだろう。
「答えて。『偽物』のシグナムさんと何を話していたの?」
 責めるようななのはの口調に、私は何も話すことが出来なかった。
 黙秘を続ける程に、なのはの機嫌を損ねてしまっている気がする。何か言わなければと思うのに、何を言っていいのかわからない。
「・・・・・・まさか、私のところにあの二人を差し向けたのって、フェイトちゃん?」
 彼女が何を言っているのかはさっぱりわからなかったが、否定しなければという一心で首を必死に横に振る。
 ・・・・・・二人? やはりなのはは戦ったのか。だとすれば、誰と?
「だよね・・・。あの人たちってば酷いんだよ。シャマル先生とザフィーラの格好で私のこと騙して『フェイトちゃんが私のこと裏切る』って言うんだ・・・。そんなはずないのにね」
 なのはの笑顔に、背筋が凍り付くようだった。
 じゃあ、あの二人は、どうなったの?
「ねぇ、フェイトちゃん。今日は久しぶりにすっごく調子がいいんだ! 今の内に局の人たち撒いちゃおう」
「そう・・・だね・・・」
 考えちゃダメだ。私は、なのはの無事だけを考えればいい。そう、誓ったじゃないか。
 突然、大地を轟かすような爆音が響き渡る。
「フェイトちゃん危ない!」
 ・・・・・・魔力反応? まさか!?
 反応地点から、誰が何をしようとしているのかが手に取るようにわかったが、既に遅かった。
 その直後、光の矢は放たれていた。
 彼女の切り札とでも言うべき一撃―――シュツルムファルケン。
 油断していた私たちに、もはや防御は間に合わない。
 直撃を覚悟し、思わず目を閉じてしまったが、着弾による爆発が起こることはなかった。彼女が狙いを外すとは考えづらい。ではなのはが防御を? いや、それなら相殺の爆発が起こるはずだ。
 どういうことかと瞳を開くと、想像もしなかったことが起こっていた。
 なのはは自分目掛けて飛んできた光の矢を、鷲掴みにしていたのだ。
 そして更に驚くべき事に、その矢がシグナムの魔力光である紫から桜色へと塗り替えられていくではないか。
「星よ・・・、悪鬼を貫く槍となれ・・・」
 そしてそれ以上の魔力を帯びて、その名の通り、原型をとどめない程の長さを持った槍となる。
 なのはがこれからするであろうことを想像し、私は戦慄した。
「シューティングスター・・・、シュート」
 その無事に安堵する暇すらなく、彼女は再び巨大な光へと呑まれてしまった。今の彼女ではもう、回避どころか、防御すらままならないだろう。
「どうしたの、フェイトちゃん?」
 今の私は一体、どんな顔をしているのだろう。
「安心して。まだ、生きてるから」
「えっ」
 その意味を理解するのに、数刻を要した。
 ひょっとしたら今目の前にいるのは、あの優しいなのはなのかもしれない。いや、なのはは最初からずっと何の変わりもなくて、私が変に勘ぐっていただけなのかもしれない。
 でもそれは全て、私にとっての都合の良い解釈でしかなかったのだ。
 なのはの言葉の本当の意味。それは―――

「フェイトちゃんが、とどめをさして」

 避けることの出来ない二つの選択肢を前に、身体が経験したことのない震えに襲われる。
 全身に力が入らず、呼吸すら満足に出来ず、汗が噴き出して止まらない。発狂してしまいそうだった。
 シグナムを殺して、なのはに忠誠を示すか。
 シグナムを生かして、永遠になのはを失うか。
 選ぶべき答えなんて、決まっているはずなのに。迷う余地なんてありはしないはずなのに。
 渡された二本のバルディッシュを上手く握ることが出来なくて、落ちそうになるのを抱きかかえるようにして支える。腕の中で、二本がかちゃかちゃと小刻みな金属音を鳴らす。
「どうしたの? ・・・・・・まさか、出来ないの?」
 私は震えながら、首を横に振っていた。それが何を否定していたのか、私自身にもわからなかった。
『mode release』
「バルディッシュ?」
 何も命令していないのに、ずっと一緒に戦ってきたパートナーは自らの意志で待機状態に戻ってしまった。
「ふぅん。そうなんだ・・・」
 すっ、となのはが私に人差し指を向ける。
 その指先に魔力が収束していく。
 もう、どうしていいか、わからない。
 ・・・・・・これは裁きなのかもしれない。
 罪ばかりを重ね、何一つ満足に守ることの出来なかったことへの、断罪。
 なのはの手で裁かれるのならば、本望だ。
 しかし、放たれた光球は私の頬を掠め、遙か彼方で爆発した。
「追っ手が・・・来たみたいだね」
 だとすれば、クロノたちだろうか。
 ・・・・・・なのはは、戦うのかな。
 不安を包み込むように、なのはが私の手を握る。
「・・・・・・逃げるよ」
 その一言に、私は心の底から安堵する。
 もう、誰にも悲しい想いをさせたくはないから。
 握られた手からひしひしと伝わってくる怒りに、あぁそうか、また私は君の望みを叶えては上げられなかったんだな、と情けない気持ちになる。
 ・・・・・・守護騎士の皆は、大丈夫だろうか。

 自分の中の決意なんて、もうとっくに揺るがないものであるはずだったのに。
 何故、彼女の言葉に動揺してしまったんだろう。
 また、私の弱さがみんなを傷付けた。
 誰にも、悲しい想いをさせたくないのに、そう思えば思うほど、誰かが傷付いていく。

 信念とか、覚悟とか、決意とか。
 そんなので本当に、何かを守れるのかな。

 誰かを救える強さって、一体、どうすれば手に入るのかな。




(第十一話 ① に続く)


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高町屋は「魔法少女リリカルなのは」の二次創作を行う創作集団です。【Since 2008.11】

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≪MEMBER≫
高町きよ:高町屋代表。企画・二次原案担当。とにかく筆が遅い。ふと気が付くと、脳内ではなのはとフェイトがいちゃいちゃしている。

木村由宇:高町屋絵師。HP管理人。振り回される方。苦労人。気が付けば一番精力的。どんなに忙しくても締め切りはちゃんと守る。見習え、代表。

幼専士タチバナ:真性のロリコン。ここ最近の高町屋の影の功労者。事務能力皆無の代表をサポートすべく、イベント参加率は絵師より高いかも。

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