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第十一話「黄昏の騎士」①

今回のリリマジは
「あの夏で待ってる」オンリーと同時開催なんですね。
・・・気になる。是非覗いて見たい!

ということで『続きを読む』より、
魔法少女リリカルなのはNightmare
第十一話「黄昏の騎士」①
になります。





 再びなのはとフェイトの所在を掴み、L級八番艦アースラは次元の海を航行中であった。
「・・・すみません、艦長」
 そのブリッジにて。艦長席の隣に立つクロノは、視線は前方を見据えたまま、呟くようにぼそりとそう言った。
『どうしたの? 突然改まって』
 艦長席に座るリンディの念話での問いに、クロノが答えることはない。
 もはや、説明など必要がないことくらい、お互いにわかっていた。
 八神はやての守護騎士三名による、主の襲撃。そして、独断による高町なのはとフェイト・テスタロッサ・ハラオウンとの戦闘行為。結果として守護騎士は三人ともなのはにより撃墜され、二人は再び逃走。
 三人とも命に別状は無いものの、当分の間は動くことすらままならないだろう。
 はやては寧ろ被害者であるのだろうが、自作自演であるかもしれないとの疑いもあり、彼女もまた治療という名の下に幽閉されてしまった。
 八神家の脱落は戦力として、相当なマイナスである。当初から見て半分以下であると言っても過言ではないだろう。
 そして何より、自分たちはこれから、局の命令に反旗を翻そうとしている。
 出向部隊に対する監督不行き届きと、命令違反。
 それらの責任は全て、艦長であるリンディが背負うことになる。
 成功の確証すらないこの作戦は、殆ど自分の我が儘なのに、その責任すら自分では取ることが出来ない。それを思うと、居たたまれなくなる。そんな良心の呵責が、クロノの口から零れ落ちたのだった。
『気にする必要はないわ。提案したのはあなたかもしれないけど、これはもうこの艦の総意なのよ』
 もっと自信を持ちなさい、とたしなめる。貴方がそのようでは周囲も不安になる、と。
 わかってはいる。指揮官として、そういった態度を見せないよう心掛けてきた。でも、今回ほど、内なる不安に支配されるのはクロノにとって初めての経験であった。
 なのはだけではない、とクロノは思う。
 今回のこの事件は、彼女に関わる全ての人たちにとって『試練』なのだと。
「目標点到達まで、あと十分です」
「到着次第、アースラは大気圏外にて待機。武装隊に出動準備の連絡を」
「了解」
 そうだとするならば。
 この試練の先に、彼らは何を見るのだろう。


   ◇

 暗がりの洞窟に、乾いた音が響き渡る。
「嘘つきっ! 守るって言ったのにっ!!」
 ヒステリックに叫ぶ声と共に、びしっ、ばしんっ、という音が更に大きくなる。
「ごめん・・・、ごめんね・・・」
 か細い声でそう呟くように謝り続けるフェイトは、両手両足を光の紐で縛られ、吊り下げられている。鋭く重い衝撃が全身に駆け巡る度に全身の筋肉が反射的に強張り、その緊張が解れてぐったりすると、後を追うように鈍痛が襲いかかってくる。
「どうして!? どうして殺さなかったのっ!?」
 荒れ狂うなのはは、光の鞭を手に、容赦なくフェイトのことを責め立てる。感情を言葉にする度に、更なる怒りが込み上げてくる。最愛の少女を傷付けているという事実よりも、その彼女に裏切られたという失望と怒りに支配されていた。
「そんなにあの人のことが大事!?」
 鞭が首を打ち抜く。一瞬呼吸が出来なくなり、激しく咳き込む。
「ご・・・めん・・・・・・、なの・・・はっ・・・・・・ごめん・・・」
 もう何度も気を失いそうになった。それでも意識を保とうと必死だった。
 謝り続けるのは、許しを請う為ではなくて、その為であったのかもしれない。
 気を失ってしまったら、目が覚めたときにはもう、なのははいないんじゃないかって。そう考えたら怖くてたまらなかった。
「なんであの人なのっ!! 私の方がずっと一緒にいたのに!! 私の方がずっとフェイトちゃんのこと大事にできるのにっ!!」
 それからはもう、言葉にならなかった。吹き荒れる感情のままに、なのはは泣き叫びながら鞭を振るい続ける。
 脛が、太腿が、脇腹が、胸が、二の腕が、段々と感覚を失っていく。
 そんな中フェイトはうわごとのように「なのは・・・、なのはごめんね・・・・・・」と繰り返す。
 やがてなのはは、がくりと膝から崩れ落ち、苦しそうに胸を押さえながら呼吸を荒げる。
「・・・・・・な、のは・・・、だい・・・・・・じょう・・・ぶ・・・?」
 もう殆ど全身の感覚の無いフェイトには、鎖を自分で解く力すら残っていなかった。
 しかし、なのはは答えずに荒い呼吸を繰り返している。
 そして突然、肩を震わせて笑い出した。
「あはははははっ! そっか・・・、そうだよね・・・。おかしいと思ったんだ・・・。そういうことだったんだ」
 なのはの表情からは怒りや悲しみ、そういった負の感情が消えていた。
 フェイトには何が何だかわからなかったが、その事実に安堵していた。
 でも、どんなにその名を呼んでも、視線を向けても、なのははこっちを振り返ってはくれない。まるで、この空間に彼女一人しか存在していないかのよう。
「私、どうかしちゃってたなぁ。こんな偽物を、本物のフェイトちゃんと間違うなんて」
 ―――偽物?
「よく見ると、あなたいやらしいね」
 なのはの蔑むような視線が、全身を舐め回すように這っていく。
 ―――ニセモノ?
 ぎゅう、と水分を含んだスポンジから水を絞り出すかのように、歳の割には既に随分と発育した胸の膨らみを鷲掴みにされる。その手付きには、本当に欠片の優しさも含まれてはいない。ただ、物を掴むだけの行為と同意だった。
 フェイトは初めて自分の顔が苦痛に歪むのを自覚する。
 痛覚なんて、もうとっくに麻痺しているはずなのに。
 ―――アリシアでもなく。フェイトでもなく。
「本当のフェイトちゃんはね、もっともーっと可憐で、すっごく可愛いんだよ」
 彼女の笑顔を見るのはどれくらい振りだろう。でも、それは自分に向けられたものではない。歌い出しそうなほどに弾む声とは、残酷な響きでフェイトの胸を打つ。
 ―――それじゃあ、私は誰だろう?
 心が、ぼーっとする。何だかふわふわして、広がっていくみたい。
「あなたと違ってね!!」
 ぱしぃんっ、とこれまでで一番きれいな音を響かせる。
「ごめん、なさい・・・・・・母さん・・・」
 心が、どこかに行ったり来たりしてる。ここがどこなのか、いまがいつなのか。わからない。
「あれ? 壊れちゃったの? ・・・・・・まぁいいや、偽物だし」
 フェイトちゃんを探しにいかなきゃ、となのはが背を向けると、フェイトの意識は遠い過去から引き戻される。
「な、のは・・・? どこ・・・・・・行くの? 置いてか・・・ない・・・で・・・」
 絞り出すようにフェイトがその背中に呼び掛けても、なのはがそれに答えることはない。
「な・・・のは、待ってよぉ・・・。・・・・・・なのは、なのはぁっ」
 想いが通じたのかなのははこちらに振り返る。
 ほっと安堵したフェイトに、なのはは。
「その声で、私の名前を呼ばないでっ!!」
 怒号と共に、持っていた金色の待機状態のデバイスを思い切り投げ付けた。それはフェイトの額を捉え、つぅと一筋、鮮血が伝う。
 そして、なのはは逃げるようにその場から居なくなった。
 からんと、落ちたデバイスの音が洞窟に響き渡る。
「な・・・のは・・・・・・ごめん・・・」
 貴女だけの騎士になりたかった。
 全ての悲しみから貴女を守ってあげたかったのに。
 なのはのいない黒に支配された洞窟でフェイトはうわごとように謝り続けた。
 そして深い絶望と共に、フェイトの意識は闇に呑まれていった。


   ◇

 視界に、何かが映る。
 意識が、戻った?
 と、いうことはまだ・・・生きているということか。
 そのことに驚きつつも、存外自分もしぶといなと、呆れた気分にもなる。
 自分の身に何が起こり、どのタイミングで気を失ったのか、それも何となく思い出せる。わからないのは、それからどれだけ時が流れたのか。
「気が付いたみたいだな」
 何となく声に聞き覚えがある。そうだ、あの眼鏡司書だ、と見てから思い出す。
 言いたいことが山ほどある、そう顔に書いてあるが、敢えて口にしないのは私を気遣ってのことだろうか。
「正直、もう目が覚めないかと思ってた」
「・・・まさか、ずっとここに?」
 ユーノはまぁね、と苦笑する。
「別に、君に付いていたわけじゃない。幽閉だよ、幽閉」
 事情はわからないが、やはり眠っている間に色々あったようだ。
「それと彼女の付き添い、かな」
 ユーノの視線を追うともう一つのベッドに見覚えのある少女が眠っていた。彼女に、八神はやてに何があったのか、視線で問う。
「怪我したわけじゃない。疲労と急激な魔力消費による昏倒だって。その内、目を覚ますよ」
 目を覚ましたら、一体どんな言葉で彼女に罵られるのだろうか。
 いや、そんなことはいいんだ。
「ここは・・・どこだ?」
「? 本局の医務室だけど」
「アースラはどうしている?」
「今はなのは捕獲のために出航中」
 それは状況的にあまり芳しくない。彼に慌てる様子が無いことからまだ、何も起こってはいないことはわかるが・・・。
「・・・・・・どうかしたのか?」
 沈黙を続ける私に、怪訝な表情で尋ねてくる。
「アースラは、無事か?」
「・・・・・・どういう意味だ?」
 もう誰に気を遣う必要も無い。それならば、彼らに降りかかる悲劇を取り除く手助けくらいしてやってもいいだろう。



「なのはちゃんとの戦闘、開始しました」
「医療班の待機状況は?」
「問題ありません」
「結構。それではここからが、優秀な凄腕艦長さんの本領発揮ってやつね」
「艦長、それ自分で言うのどうかと思います」
 エイミィの指摘に、そぉ? と惚けて見せるリンディ。
 今回の戦闘に参加している艦は自分たちだけではない。そしてそれらの艦は一様に「高町なのは殲滅」の命を受けている。
 そこをこれから彼女の人徳と交渉術で「殲滅」から「捕獲」に書き換えようとしている。
 リンディはこういった交渉に絶対の自信を持っている。
 これまでに築き上げてきた伝説に尾ひれがついて、彼女の頼みを無碍にすると、局内での居場所がかなり狭くなるという認識が出来上がっている。最近はそのことも手伝って、この手の交渉はかなりスムーズに進む。
 ただ、リンディ自身、いつもそんなに無茶なお願いをしているつもりはないし、無理強いをしたこともない。
 相手が抱いている不安を探り、そこを煽って、こちら側の正当性と何かあったときの為の言い訳を与えてやる。ただ、それだけなのだ。
「あら、同期がいるわ。じゃあ手近なとこからいきましょうか」
 艦隊の艦長リストを物色しながら、リンディが回線を開こうとするとブリッジに怒声が響き渡る。
「艦長! 不審人物がこの艦に転送されてきます!!」
「えっ!? ど、どーゆーこと!?」
 外部からの転送は、こちら側からの許可無しには出来ないはずなのに。
「転送完了しました! 奴ら、ここに向かってる!?」
 不測の事態に驚くのも束の間。危機はすぐそこまで迫っている。
「隔壁を閉じて通路を遮断して!!」
「もうやってます!! でもアクセスを受け付けません!!」
「そんなっ! もう来ちゃうよっ!」
 外からドタドタと不審な音が近づいてくるのがわかる。音からして、そこそこの人数がいるようだ。
「なっ、何なんですか、あなたたち!?」
 ブリッジの扉が開かれ、現れた無頼たちは一応は武装隊の格好をしている。
「動くな!!」
 しかし、彼らはクルーを人質に取っていた。下手な真似をするとこいつの命はないぞ、という有名な悪役のステレオタイプだ。およそ、管理局員のやることではない。
 その内の一人が、期待を裏切らず、よく通る声で言った。
「今からこの艦は、我々の指揮下に入ってもらう」
 過去に数度の奇跡を起こした伝説の戦艦は、瞬く間に、いとも簡単に乗っ取られてしまったのだった。




(第十一話 ② に続く)


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プロフィール

高町屋

Author:高町屋
高町屋は「魔法少女リリカルなのは」の二次創作を行う創作集団です。【Since 2008.11】

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≪MEMBER≫
高町きよ:高町屋代表。企画・二次原案担当。とにかく筆が遅い。ふと気が付くと、脳内ではなのはとフェイトがいちゃいちゃしている。

木村由宇:高町屋絵師。HP管理人。振り回される方。苦労人。気が付けば一番精力的。どんなに忙しくても締め切りはちゃんと守る。見習え、代表。

幼専士タチバナ:真性のロリコン。ここ最近の高町屋の影の功労者。事務能力皆無の代表をサポートすべく、イベント参加率は絵師より高いかも。

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