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第十一話「黄昏の騎士」③

今月のリリマジ用に、無い頭を悩ませながら作り上げてきた
ものを先週、一旦白紙に戻しました。
頑張って間に合わせます。

ということで『続きを読む』より、
魔法少女リリカルなのはNightmare
第十一話「黄昏の騎士」③
になります。





   

 モニターが白一色になると、アースラのブリッジにクルーたちの悲鳴が響く。
「・・・・・・化け物め」
 同様にその戦闘を監視していた、犯行グループのリーダーらしき人物が憎々しげに呟いた。白一色だったモニターが、再び映像を映し出す。その光景に、彼は訝しげな表情を見せる。
 モニターが復旧する前後で、何かが変わっただろうか、と。そのモニターを見ていた誰もが、抉れた大地を想像していただろう。
「魔力の収束も制御もほとんど出来ていなかったようですね」
 メンバーの一人が言うと、なるほどとリーダーは頷く。
「だいぶ錯乱しているようだな・・・」
 あの一撃による被害が殆ど無いということに、皆、胸を撫で下ろす。
「さて、艦長」
 男はモニターからリンディへと向き直る。どうやら、本題に入るらしい。
「この艦にはアルカンシェルが積まれているな?」
 その単語にブリッジに緊張が走る。
 アースラに搭載されている魔導砲、アルカンシェル。発動地点から百数十キロを空間歪曲と反応消滅で殲滅させるというかなり物騒な代物で、言わば、切り札とも呼べる武装でもある。
「起動させろ」
 ブリッジがどよめく。雰囲気が「本気か?」と言っている。
「私が、素直に従うと思って?」
 高圧的な態度に、にっこりと微笑んで答えるリンディ。
 いや、と人質に凶器を突きつける。
 しかし艦長は笑顔を崩すことはない。
「そのような脅しは無駄だと思ってくれて結構よ」
 更には人質を前に、平然と言い放った。
 局員一人の命のために、大量破壊兵器を譲渡するような者はそもそも艦長の座まで辿り着けはしない。局員たちも、そういう覚悟があってこの船に乗っている。
 命乞いをされたとしても、結果は変わらない。変わっては、いけないのだ。
 ともすれば冷徹とも呼べるその態度に、リーダーは失笑を漏らす。
「・・・・・・噂通り、気の強い女だ」
 その美貌で何でそんな薄汚れた仕事なんぞやっているんだ、とつい口に出そうになる。
「とりかかれ」
 リーダーの一声で、メンバーが動き出す。オペレータたちを椅子から蹴落とし、それぞれが席に着く。その後の行動にも迷いが無い。
 最初から全ての操作に、無駄がない。
 その不可解さもさることながら、下手をすれば本人たちを超えるかもしれない手際の良さに思わず見とれてしまう。
「貴様らの手を借りずとも、我々はここでアルカンシェルを発射することが出来るのだよ」
 ぽかんと状況を見つめる乗組員に、リーダーはリンディを追いやった艦長席に座りながら少し得意げに言う。
「そんなっ!?」
 誰もが、その可能性を疑っていた。だがそれでも、その事実を告げられたところで、はいそうですか、と信じられるわけはない。
 しかし彼らの操作の手際や、見覚えのある様々なデータを映し出したモニターが次々と展開されていくのを見ると、もう信じないわけにもいかない。
「アルカンシェル、チャージ開始しました」
 そう、平然と言ってのける。
「完了までの時間は」
「およそ15分です」
 モニターに大きくカウントダウンの数字が表示される。これはもう決定的だった。
「思ったより長いな・・・。まぁ、犬共を逃がすには丁度良いか・・・」
 この艦と同様、宙域に控える艦隊に警告でもしてやろうかと通信回線を開くと、待っていたと言わんばかりに、早速向こう側からの怒声がブリッジに響く。
『おい、アースラ、何をやっている!? 正気か、アルカンシェルなど・・・』
 モニターに映るのは、さっきリンディが真っ先に連絡をしようとしていた彼女の同期生だった。
「・・・・・・お前ら束になっても、あの女をどうにも出来なかっただろうが」
 何でこういう連中は揃いも揃って声が馬鹿でかいんだと辟易しながら、吐き捨てる。通信相手がリンディだと思い込んでいた向こうの艦長は、人相の悪いおっさんを前に面食らう。
『なっ・・・。誰だ貴様!?』
「誰だっていい。我々は最高評議会の命で動いている。この情報だけで貴様らには十分だろう」
 初耳の情報に、向こうの艦長同様、アースラの面々も驚きを隠せない。
「こちらはもうチャージを開始している。巻き添えを喰いたくなければ、さっさと部隊を引き上げさせるんだな」
 そう言ってこちらから一方的に通信を切ってしまった。悔しさに歪む顔がぶつり、と消えた。
「それにしても、抵抗せんなお前ら。もう諦めたのか?」
 艦を乗っ取られてからというもの、抵抗どころか、殆ど言葉すら発していない。
「考えていることを当ててやろうか」
 男の口元が厭らしくつり上がる。
「チャージが完了しても、起動キーが無ければアルカンシェルは撃てはしない、だろ?」
 誰も表情こそ変えなかったが、ブリッジを取り巻く雰囲気が明らかに変わる。
「・・・・・・残念だったな」
 男はしてやったり、という表情で続ける。
「そんなことを知らずにここまで来るほど、我々も馬鹿ではない」
 嘲るような笑顔は、まるでクルーの不安を見透かして楽しんでいるかのようだ。
「チャージが終われば、撃てるんだよ。私の意志によってな」
 敢えて、その事実を口にした。絶望を、与えるために。
 男は回線をオープンチャンネルにして、一斉に呼び掛ける。
「こちらアースラ。付近に待機中の全艦に告ぐ。本艦はこれより、高町なのはに対してアルカンシェルを使用する。チャージ完了まではあと十分弱。ギリギリまで対象を引きつけた後、部隊を速やかに撤退させよ。これは、最高評議会の決定である。貴艦らの健闘を期待する」
 こちらの用件だけ一方的に押し付けて、再び回線を閉じてしまった。
 待機中の艦隊は今頃騒然となっていることだろう。
「ちょっと、どういうことっ!?」
 突然エイミィが凄い剣幕で怒鳴る。
「今の通信、この宙域にいる全部の艦に届いてない!!」
 管制司令である彼女でなければ、その事実に気付くことはなかっただろう。
「・・・・・・言っている意味がわからんな、お嬢ちゃん」
「惚けたって無駄よ、この悪魔! 囮にするつもりなんでしょ!? なのはちゃんに怪しまれないために・・・、逃げられないために。そんなことして、ただですむと・・・・・・っ!!」
 エイミィの詰問は途切れてしまう。メンバーの一人が、彼女の鳩尾に容赦ない一発をめり込ませたのだ。
「想像力豊かなのは結構だが、これ以上怪我をしたく無いのなら黙っているんだな。これは『通信障害』なんだよ」
 そう言ってしまえば体裁は保てるものね、と口にしようにも咳き込んでしまい言葉にはならなかった。
 こんな悪魔の所行が、本当に評議会の決定だというのだろうか。
 そのあまりの非道さに、ブリッジに戦慄が走る。
「残り十分、せいぜい神にでも祈るんだな」
 せせら笑うように、男は言った。
 滑稽だな、とリンディは思う。
 その神を、彼らは今から滅ぼそうとしているのだから。


   ◇

「駄目だっ、どうしても繋がらない!!」
 何度アースラと交信を試みても、こちらからの呼び掛けに答える気配はない。
 ルカからの突然の告白に憤りを感じてはいるものの、ユーノは艦の安否の確認を最優先させていた。
 募る不安に、彼は苛立ちを隠さない。
「やはりアースラは乗っ取られたらしい・・・」
 そんな彼の焦りを煽るかのように、ルカからいきなり最悪の事態を宣告される。
「なっ!? ・・・って、また力を使ったのか!?」
「心配するな、これくらいなら問題はない。それより問題は、だ」
 ルカの言うとおり、大問題なのはこの現状である。
 彼が作らされたという、戦艦の管制システムを丸ごと書き換えてしまうプログラムと、極限られた艦にしか積まれていないというアルカンシェルを制御し発射までさせることの出来るというプログラム。
 かなり限定的な条件。
 彼らが隠滅したい、魔癌の在処。
 局員が束になってかかっても、手に負えない暴走した魔導師。
 そして、この状況で乗っ取られるアースラ。
 ―――導かれる結論は。
「・・・・・・どうか、したん?」
 頭を悩ませているところに、寝起きの特有の低い声。
 ユーノは、ナースが言っていたよりも早い目覚めに驚き、声の主を見る。
 声の割に、視線は思いの外しっかりしていた。
「はやて、具合は・・・大丈夫?」
「・・・・・・まぁ・・・ね」
 事情が事情だけに、ユーノが気を遣ってくれているのがわかり、はやても言葉を濁して「それよりも」と質問の答えを促す。
 ユーノは簡潔に現状を説明する。ルカのことも含めて。
「そうか・・・。それは一大事・・・やね」
 はやてはユーノの予想に反して、驚きを見せたり、感情をあらわにすることは無かった。
 なのはは未だにその身を拘束されてはいない。
 ということは・・・、とはやては精神を研ぎ澄ます。
(三人とも、虫の息やん・・・)
 守護騎士とのリンクによって、その惨状を知る。
 ヴィータはあの時から比べれば随分と回復したが、残りの三人から感じられる命の灯火は消えてしまいそうな程に小さい。
「ユーノ君、一体・・・家の子らに何があったん?」
 おおよその予想は付いていたし、その予想が外れている気もしなかったが、自分からその事実を口に出して真偽を問うのは少し気が引けた。
 そしてユーノから三人がなのはによって完膚無きまでに徹底的に叩きのめされたこと、それでも命までは奪われなかったことを聞かされたはやては「そっか、やっぱりなのはちゃんが・・・」と呟く。
「でもよかった、三人とも、無事なんやね・・・」
 もっと落ち込むかと思っていたユーノは、ほっとした顔を見せるはやてを意外な思いで見ていた。
「じゃあ私たちも、動き出さんとね」
 ベッドから降りようすると目が眩んだか、おおっと、とバランスを崩す。寸でのところでユーノが支える。
「はやて、無茶だ」
「大丈夫、私は怪我も何もしとらんから平気やよ」
 そう言って、何とか自分の力で立ち上がるはやて。
「あの子らの意志はちゃんと私が、継いであげなな」
 その瞳には強い決意が宿る。
「・・・・・・君は彼女たちに、襲われたんじゃないのか」
 いきなりルカに痛いところを突かれて、これはお恥ずかしい、とはやては頭をかく。
「これでも一家の主やから、あの時は取り乱しとったけど、今ならちゃんとわかるんよ。あの子らが本気やないって。ほんまに優しくて、不器用な子たちやからね・・・」
 それに、とはやては悪戯っぽい笑みを浮かべて続けた。
「完全に餌付けされとるから、あの子らはもう私から離れられへんよ。何があっても、最後は私のところに帰ってくるよ、必ず」
 口調はおどけているが、その中には絶対の自信が感じられる。彼女がそれを口にすることは無いが、それが『信頼』というものなのだろう。
「・・・・・・家族というのはいいものだな」
 ルカの呟きに、ユーノはきょとんとしている。
「・・・・・・君でも、そんな顔をするんだな」
 家族が? と尋ねるユーノに、ルカは微妙な表情で答えに窮している。
「実際は、よくわからない。でも、その人は私のことをとても大切にしてくれたし、私も彼女のことをとても大切に思っている。それだけは、確かだ」
 どうしてそんなにも、彼の瞳には悲しみが溢れているのだろう。
「それなのに私は、彼女のことを裏切った。もう・・・会うことは出来ない」
 遠くを見つめる視線の先には、何が映っているのか。
「・・・・・・君は、大事にしてやってくれ」
 そう言って見せた、憂いを帯びた微笑み。
「やり直せるよ」
 それは確かな響きを持ってルカを振り向かせる。
「だって、それが家族なんやから」
 笑顔で断言するはやてに、ルカは初めて笑顔を見せて「そうかもしれないな・・・」と応えた。
「さて、やることやって、さっさとみんなを迎えにいってあげんとね」
 家族・・・か。
 と、はやては思う。
 自分は一家の長としても、夜天の主としても失格であると。
 彼女たちの絶対の忠誠を知りながら、崇高と言える純粋な心を知りながら。
 疑ってしまった。裏切られたと思ってしまった。捨てられたんだと恨みすら抱いた。
 独りぼっちの寂しさには、慣れていると思っていたのに、いつの間にか独りになることに恐れを抱くようになっていた。
 弱くなったのかも知れない。
 でもそれと引き替えに、たくさんのかけがえのないものを手に入れた。
 彼女たちが私にくれた幸せを、果たして自分は返せるのだろうか。
 一家の長として、夜天の主として。
 その疑問に、答えを出すために。
「ほんなら、ちょっと協力してもらうよ」
 ここからが魔導騎士の腕の見せ所や、とはやては魔方陣を展開させる。
 ルカの前に一冊の分厚い本が現れ、おもむろに開かれる。
「夜天の書よ、彼の者の叡智を得て、我が力の礎と為せ!」
『Sammlung(蒐集)』
 ぱらぱらぱら・・・と数ページが捲れた後に、ばたんと閉じる。
「二つほど頼みがあるんやけど、聞いて貰える?」
 その言い方。端から断られるなんて思っちゃいない。
 いつかの仕返しや、とはやては思う。




(第十一話 ④ に続く)


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高町きよ:高町屋代表。企画・二次原案担当。とにかく筆が遅い。ふと気が付くと、脳内ではなのはとフェイトがいちゃいちゃしている。

木村由宇:高町屋絵師。HP管理人。振り回される方。苦労人。気が付けば一番精力的。どんなに忙しくても締め切りはちゃんと守る。見習え、代表。

幼専士タチバナ:真性のロリコン。ここ最近の高町屋の影の功労者。事務能力皆無の代表をサポートすべく、イベント参加率は絵師より高いかも。

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