↓↓夏コミの新刊 『とらのあな』で通販中!! ↓↓                    

nightmare1 nightmare1 nightmare1 nightmare1 nightmare1

(クリックで通販ページに飛べます!)


第十三話「あなたと、ともに」③

友人の結婚式で帰省してました。
参列してみて思ったのは、
「私には無理だ!!」ということ。色んな意味で。
何というか、これだけで純粋に友人を尊敬出来てしまう。
・・・凄すぎる。

ということで『続きを読む』より、
魔法少女リリカルなのはNightmare
第十三話「あなたと、ともに」③
になります。

 クロノとも別れ、なのはと二人で公園のブランコに座っていた。
 傾き掛けた夕日を見て、以前クロノと高町家を訪れた時もこんな夕焼けだったなぁと、ついこの間のことなのに、もう随分と昔のように思える。
 正直なところ、あの頃はなのはとこうして二人で過ごせる日常が戻ってくるなんて、想像もしていなかった。
「もぉ、フェイトちゃんってば、かっこよすぎだよー」
 こっちを見た拍子にブランコの金具同士が軋み合って、きぃぃ、と甲高い音を奏でる。なのははゆっくりとブランコを漕ぎ始める。
「そ、そうかな・・・」
 そうだよ、となのはは少し膨れているようだった。何にそんなに怒っているのだろう?
 彼女のブランコを漕ぐスピードが段々と上がっていく。見上げる彼女を見上げる角度が段々と高くなっていく。
「プロポーズはっ!」
 地面と水平になるくらいに後ろに漕ぎ出して、その勢いのまま一気に前へ!!
「私がしようと思ってたんだよっ!!」
 ブランコから手を離し、なのはは空へと放物線を描く。
「・・・・・・え?」
 一瞬思考の停止した私は、その言葉の意味を理解するよりも、やっぱりなのはには空が似合うね・・・なんて、間の抜けたことを考えていた。
 ずざーっ、と軽く砂を巻き上げて、綺麗に着地。私は思わず、感嘆の声を上げた。
「ほら、フェイトちゃんも!」
 促されるままに、私もブランコを漕ぎ出した。
 離れてしまった距離を埋めるために。彼女に追い付きたい一心で。一生懸命、前に、後ろに。ブランコの経験の少ない私は、どのタイミングで手を離せばいいのかわからない。なのはが近づいては遠のいていく繰り返しに、届かないもどかしさに、胸の奥がきゅぅと苦しくなる。
「今っ! 飛んで!!」
 なのはの声に導かれて、私は空へと飛び上がる。
 視界に映るなのはへと、手を伸ばす。
 しかしなのはは直ぐに見えなくなってしまった。タイミングがずれていたらしく、空中で回転してしまった私は、そのまま頭から地面に・・・。
 衝突することはなかった。
 空中でなのはにお姫様抱っこでキャッチされて、そのまま遙か上空へと飛び上がった。
 瞬く間に、地面が、さっきまで乗っていたブランコが、小さくなっていく。
「ごめんね、フェイトちゃん」
 なのははいつの間にか、その身にバリアジャケットを纏っていた。
 危ないでしょ、とか、結界も張らずに空を飛んじゃだめでしょ、とか注意するつもりだったのに、彼女の腕の中に収まったら全部綺麗になくなってしまった。
 私はううん、と首を振る。
「大丈夫だよ、ちゃんとなのはが受け止めてくれたから」
 夕焼けに晒された海鳴は、紅く染め上げられて幻想的な装いを見せている。
 私はその光景に目を奪われていた。
「こうしてると、フェイトちゃんお姫様っぽいんだけどなぁ・・・」
 なのはは私のことを見つめながら、そう呟く。
「でもやっぱりフェイトちゃんの方が、王子様って感じだよね・・・」
 周りはそんな風に言うけれど、みんなわかってないと思う。
「そんなことないよ。なのははいつも、私の王子様だよ」
 私なんかよりも、ずっとかっこいい。
 私がなのはのことを助けるよりも、なのはに助けられることの方がずっと多いんだ。
 本当は、君の騎士になりたいけど。
 今だけは君の腕の中で、私だけの特等席で、甘えても、いいかな。
「じゃあもう少しだけ、空の散歩に付き合ってもらえますか、お姫様」
「喜んで」
 ぎゅっと、なのはの首に腕を絡ませる。
 それに合わせて、なのはも一気にスピードを上げる。
 触れ合う頬の感触。揺れる私の髪が首筋を撫でるから、ちょっとくすぐったそう。
「フェイトちゃん! 将来、お嫁さんにしてあげるーーー!!」
 突然、なのはがこの空に響き渡りそうなほどに、大きな声で叫んだ。
 その顔がすっごく笑顔だったから、私も恥ずかしさとかそういうのは全然無くなって、寧ろ叫ばずにはいられなかった。
「いいよー! 私、なのはのお嫁さんになるーーー!!」
 自然と笑いが込み上げる。二人でお腹が痛くなるくらい笑いながら、夜が混ざり始めた夕空を全速力で飛ばしまくった。軌道を滅茶苦茶にして、きゃあきゃあ騒いだ。どさくさに紛れて、なのはの頬や首筋に何度もキスしようと試みたけど、やっぱり出来なかった。事故で何度か唇が触れることはあったけど、それはノーカウントで。・・・・・・大事なのは、自分の意志だよね。
 今は、二人だけのこの瞬間を、一緒に見ているこの光景を。
 大切な宝物に出来れば、それでいい。

 結界も張らずに、空中飛行。目撃者、数名。
 その夜、二人はクロノにこっぴどく叱られたのであった。


   ◇

「まったくあいつらと来たら・・・」
「お帰り、クロノ君。お説教お疲れ様」
 頭を抱えながらリビングに戻ってきたクロノにエイミィはコーヒーを差し出す。
 退院早々、問題を起こした妹とその親友に、怒りはもう通り越したらしく呆れ果てているようだった。
「どう、効果ありそう?」
 尋ねるエイミィに、クロノはコーヒーをひと啜りしてから、ぶっきらぼうに、あぁ、と答える。
「今度馬鹿な真似をしたら、フェイトをクラナガンの病院に隔離するぞと脅してやった。しばらくは大人しくしていると思うが・・・」
「まぁ二人の気持ち、わからなくはないけどね・・・」
 ずっと一緒だった人と心が離れて、それがようやく元に戻ったのだ。浮かれずにいろという方が無理だ。離れていた時間を取り戻そうと、はやる気持ちを抑えるのは今の彼女たちには難しいだろう。
「あんまり厳し過ぎても、可哀想かもよ?」
 だから、エイミィは二人の為にちょっとだけ助け船を出す。
「・・・・・・その辺は節度を守って行動してくれれば、この限りではない」
 その実、クロノも二人には結構甘い。
「・・・・・・またこれを見てたのか」
 エイミィの手元を覗き込むと、あの時の戦闘映像が流れていた。
「うん・・・。本当に・・・なのはちゃん、よく、助かったなぁって・・・」
「・・・・・・全くだ」
 エイミィが眺めるモニターに映るのは、なのはが『最後の試練』を受けている時のものだった。
 なのはが今回の事件を締めくくる形で、最後に放った一撃。
 あの時のなのはの魔力は、彼女自身のもののみしか使われていなかった可能性が高い。つまり、その地点でのなのはは、聖王としての力を何一つ有していない、只の高町なのはであったかもしれない、ということだ。聖王の試練と分離した時点で、バリアジャケットが生成されていなかったことが、その可能性を示唆している。
 魔力値だけの単純計算をするのなら、あの戦闘で、対峙する二人によって消費された魔力は、星を一つ丸ごと飲み込める程。
 つまり、アースラ奪還に向かった際にはやてやユーノが気に掛けていたことは、考慮すべき問題であったのだ。もしあのままアルカンシェルが撃たれていても、恐らく効果は無く、それどころかそれ以上の破壊力を持って、宙域に待機している艦隊は跡形も無く消されていたかもしれない。
 もし、これらの可能性が真実であるのなら、彼女が今生きていることは奇跡と呼べる。
 そんな莫大な魔力を単体で運用するなど、普通に考えれば不可能だ。それこそ、『神』にでもならない限り。
 人が持ちうる魔力変換効率の最大値は個人差こそあるものの数値だけで判断するならば、それほど良いとは言い難い。それを補うために存在するのがいわゆる『デバイス』と呼ばれるものである。
 とはいえ、デバイスを使用したからといって、変換効率を無尽蔵に向上させられるわけではない。人の方に限界があるのだ。いくら効率よく魔力を生成したところで、その器の容量が小さければ、すぐに溢れかえってしまう。氾濫した魔力は、その大きさによっては最悪生成した者自身を呑み込んで暴走してしまう。
 故に、彼女があの時放った一撃は人智を超えているのだ。
 あのとんでもないスピードで、あれだけの集束砲を放つために必要な魔力を得るためにはどれだけの変換効率が必要なのか算出したところ、有り得ない数字を叩き出したのだ。
 それはほぼ、100%に近い値を示していた。
 現在最高水準の魔力製錬装置ですら、まだその水準に達していないというのに。
 有り得ない数字なのだが、その値でなければ、試練に打ち勝ったあの魔力を集めることは出来ない。
 それが彼女自身の力によるものなのか、彼女のデバイスの為せる業なのかはもはや知りようがない。
「聖王のご加護・・・と片付けたくは無いがな」
「でも、これ以上突っ込まない方が・・・いいよね」
 研究者からすれば、どれほど興味深い対象であることか。
 しかし、彼女のためを思うなら。あれは聖王の力であったのだ、と考えるのが最善なのだろう。
 この話題を打ち切るには丁度良いタイミングで、リンディが帰ってきた。
「あ、お帰りなさい、リンディ提督」
 はい、ただいま、と笑顔で答えるリンディとは対照的に、クロノの表情には緊張が走る。
「・・・・・・どうでしたか」
 今日は自分たちの処分が決まる日だった。
 八神家の守護騎士の単独行動とはやての管理責任、アースラの命令無視。フェイトの裏切り。そして古代遺産の影響とはいえ、多くの武装局員に対して戦闘行為を行ったなのは。
 それらの罪の重さが、今日、決まる。
「やっぱり気になるわよね・・・」
 忘れてくれていればよかったのに、とでも言いたげなリンディの態度。
 やはり風向きは、良くはないのだろう。
 覚悟はよくて? とのリンディの問いにクロノとエイミィは揃って頷く。
「アースラスタッフ及び八神はやて以下その守護騎士、そして高町なのはの処分について。・・・・・・今回は不問となります」
「「・・・・・・は?」」
 全て自分たちが正しいと思ってやった行為である以上、どんな処分が下されても厳粛に受け止める、くらいの心で構えていた二人は、肩すかしを喰らった気分になった。
「えっと、・・・・・・冗談、ですよね?」
 またまた艦長ってばー、とエイミィが言ったところでその事実は変わらない。
「・・・・・・理由は簡単よ。誰も、罪など犯していないから・・・」
 それならば、どちらなのかとクロノは思う。
 その理由には二通りの可能性がある。一つは、この事件の真相を受け止めた上で、原因は自分たちには無いと判断してくれた場合。考えながら失笑が漏れそうになる。そんなことがあるわけがない、と。
 だから、恐らくは―――。
「・・・・・・そもそも事件なんて、起きていなかった。それが・・・局の出した結論よ」
 古代遺産など関わっていない。なのはは原因不明の病でずっと入院していて戦闘行為なんてしていない。よってなのはとの戦闘で負傷した大量の武装隊員たちも、大規模な演習で日頃の鍛錬不足が招いたものである、程度で片付けられてしまった。
「馬鹿なっ!! 教会が黙っている筈がない!!」
 クロノは机を叩いて立ち上がる。それをリンディに言ったところで、どうにもならないことくらいわかっているが、それでも込み上げる怒りを抑えることが出来なかった。
『情けない話だけど、教会もその方針に合わせていくつもりらしいの・・・』
 その怒りに答えたのは、モニターで現れたカリム・グラシアであった。
『事件の原因が聖遺物であることを、教会は隠したがっているみたい・・・』
 クロノは握った拳を震わせる。
 お互いに利害は一致していたのだ。
 触れられたくない部分があって、そこに踏み込んでこなければこちらから何か行動を起こすことはありませんよ、という暗黙の了解が既に両者の間にはあるようだった。
『クロノ君には言い訳に聞こえてしまうだろうけど・・・』
 カリムの後ろに立っていたヴェロッサが宥めるように言う。
『この事件は根が深い。局は今回の件で、昔からやってきたことまで有耶無耶にしようとしてるみたいだけど、教会はそれまで許すつもりはない。被害者を捜して、遺族には出来る限りの償いをしていくつもりだよ』
 事件が終わりを迎えても、その被害と向き合うことが終わるわけではない。
『局の邪魔が入るかもしれないけど、まぁ僕もいることだし。それにここまで明るみになると流石に、色んなとこが黙ってはいないだろうから。暫くは真犯人たちも大人しくしていると思うよ』
 本当はこの場にいる誰もが、真の犯人が、諸悪の根源がどこにあるのか、わかっていた。
『上層部には見せしめとして、局内にはちょっとした噂として残るだろうさ』
 でも、それを口にしないのは、まだ・・・その時では無いからだ。安易に口にしてしまうと、被害を受けるのは自分だけでは留まらない。命を狙われる危険すらあるのだ。
 この悲劇を繰り返させないことしか、今の自分たちに出来ることはない。
 だから、耐える。この屈辱を脳裏へと焼き付ける。いつか来るべき時のために。

 こうして、多くの犠牲者と悲劇を生んだ名も無き事件は、真の犯人すら明らかにならないまま、当事者たちだけの記憶に留められ、歴史の闇に消えることとなった。




(第十三話 ④ に続く)


スポンサーサイト
拍手する

テーマ : 魔法少女リリカルなのは
ジャンル : アニメ・コミック

コメントの投稿

非公開コメント

FC2カウンター
プロフィール

高町屋

Author:高町屋
高町屋は「魔法少女リリカルなのは」の二次創作を行う創作集団です。【Since 2008.11】

↓↓↓リリカルなのはの二次創作、同人活動をしている方、マイミク/マイピク募集中です。お気軽にどうぞ♪mixi pixiv Dolce

≪MEMBER≫
高町きよ:高町屋代表。企画・二次原案担当。とにかく筆が遅い。ふと気が付くと、脳内ではなのはとフェイトがいちゃいちゃしている。

木村由宇:高町屋絵師。HP管理人。振り回される方。苦労人。気が付けば一番精力的。どんなに忙しくても締め切りはちゃんと守る。見習え、代表。

幼専士タチバナ:真性のロリコン。ここ最近の高町屋の影の功労者。事務能力皆無の代表をサポートすべく、イベント参加率は絵師より高いかも。

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
pixiv
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
ブログランキング
FC2ブログランキング
サイトについて
※高町屋は「健全系」小説・漫画サークルを自称しています。本サイトでは成人向けは取り扱っておりませんが、なのはとフェイトがとてもとても仲良くするような表現が多々見られますので、そういったものはちょっと・・・という方は、ご覧になるのをお控えになったほうがいいかもしれません。
カテゴリ
リリカルプリキュア(2)


【長編】魔法少女リリカルなのはNightmare(59)
  第十三話
  第十二話
  第十一話
  第十話
  第九話
  第八話
  第七話
  第六話
  第五話
  第四話
  第三話
  第二話
  第一話

SS(7)
  ぷろぽーず ぱにっく!⑦
  ぷろぽーず ぱにっく!⑥
  ぷろぽーず ぱにっく!⑤
  ぷろぽーず ぱにっく!④
  ぷろぽーず ぱにっく!③
  ぷろぽーず ぱにっく!②
  ぷろぽーず ぱにっく!①
(ViVidとForceの間?/なのは、フェイト、ヴィヴィオ)
  きねんび(後編)
  きねんび(前編)
(A's/なのは、フェイト)
  じぇらしー
(ちゅーなの/なのは、フェイト)
  わたしのままとまま
(StS/なのは、フェイト、ヴィヴィオ)
  わがまま
(A's/なのは、フェイト)
  ぱぱ?
(StS/なのは、フェイト、ヴィヴィオ、機動六課)

漫画(22)
  勉強会⑦+⑧
  勉強会⑥
  勉強会⑤
  勉強会④
  勉強会③
  勉強会②
  勉強会①
  わがまま
  今は反省している。
  休日の過ごし方②
  休日の過ごし方
  戦場では一瞬の判断の遅れが死を招くんだ!
  共働きの核家族でありがちな風景
  間接キス⑤+⑥
  間接キス④
  間接キス③
  間接キス②
  2時間15分59秒。
  たしなみ
  虫刺され?
  またふーふー
  ふーふー

絵(20)
  ぜくしぃ!
  40000hit記念!!!
  ViVid連載開始記念!
  高町なのはで表情練習
  甘えんぼなのはさん
  SAI購入記念?
  10000hit記念!!!
  らくがき11
  あけましておめでとうございました。
  メリクリ②
  メリクリ①
  らくがき10
  らくがき9
  らくがき8
  らくがき7
  らくがき5
  らくがき4
  らくがき3
  らくがき2
  らくがき1
リンクについて

※当ページはリンクフリーです。バナーは以下のものを使用してください。

(http://takamachiya.web.fc2.com/banner.jpg)

リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

NxF Union

当サイトは『NxF Union -なのフェイ同盟-』を応援しています。

BBS&別館

bbs
bekkan

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。