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第十三話「あなたと、ともに」⑤

一年近くにわたって続けてきましたが、
ようやく最終回です。
これまで読んでくださった方がいらっしゃったら、
ありがとうございました!

ということで『続きを読む』より、
魔法少女リリカルなのはNightmare
最終話「あなたと、ともに」⑤
になります。




   

 だだっ広く感じていたリビングが、ようやくいつもの光景に戻った。
「さて、こうして我が家にみんなで集まるのも久しぶりやね・・・」
 晴れて退院、自宅療養になったシグナム、シャマル、ザフィーラが揃って帰ってきた。
 元々大きな怪我はしていなかったはやてと、他の騎士三人よりかは回復が早かったヴィータは、既に局の仕事に復帰していたが、その二人も今日は休暇を取って、久しぶりの一家集合となった。
「退院しといて、一発目からこんなこと言うんもどうか思うんやけど」
 はやては一度咳払いをする。
「今回の件は、全て私の責任や。この通り、堪忍や」
 そう言って頭を下げた。
「そんなっ、はやては何も悪くないよ」
「そうです、主が謝ることなど一つもありません」
「いや、一家の長としての自覚が足りんかったことは事実や」
 目の前の守護騎士たちの姿が、そのことを証明している。
 正直なところ、自信があった。
 そろそろ自分にも大きな任務の一つくらい任されてもいいだろう、と。
 でも、それは自信ではなく、過信だった。
 未だ私は半人前で、選択することすら満足に出来ない。後悔することを、恐れているから。
 守るべきものを前にしても、だ。
「それに最近は前ほど、私からみんなへの魔力供給もすんなりいかんくなったし、私がみんなにしてあげられることって、もうそんなに多ないのかもしれんな・・・」
 だからこそ、今が丁度良い時期なのかもしれない。
「聞いてくれるか? これは夜天の主やなく、八神家の長としてのお願いや・・・」
 一家の長として出来る事なんて、これくらいしかないのかもしれない。
「私の為に命を懸けんでええ。夜天の書の中の守護騎士としてやなく、一人一人が古代ベルカの騎士として、一人の人間として、自分たちの生きたいように、生きてほしいんよ」
 まだ自分のことですら精一杯な状態なのに、彼女たちのことを自分の元に縛り付けておくのはあまりにも勝手ではないか。優秀であるからこそ、彼女たちの居るべき場所はもっと別のところにあるのではないか、と最近はずっとそのことばかりを考えていた。
「・・・・・・主は一つ、大きな勘違いをされております」
 シグナムの言葉にはやて以外の全員が頷く。
「私たちは、夜天の書のシステムとしての守護騎士だから、はやてちゃんと一緒にいるわけではないんですよ?」
 シャマルが優しく微笑みかけてくれる。
「まだ闇の書と呼ばれていた頃は、そうであったかもしれません。しかし今、我々は自身の意志で貴女のことを守りたいと、そう思っているのです。我々は貴女の心を尊敬し、お慕いしています」
 ザフィーラの声が、心に響く。
「はやて、アタシらのこと、家族だって思ってくれてるんだろ?」
 ヴィータの問いに、私は頷く。
「その心ある限り、我ら守護騎士は貴女と共にあります」
 考えてみれば、ずっと私は彼女たちのことを騎士だなんて思ったことはなかった気がする。私の目の前に現れたその瞬間から、彼女たちは私の家族だった。
 最初は憧れを抱いての、真似事だった。
 いずれは彼女たちも自分の元を去るのだと、そう言い聞かせながら、『家族』というものを楽しんでいた。そうでなければ、別れが辛すぎるから。
 物心ついた時から一人だった私には別れの経験が無い。それは、底知れぬ恐怖だった。
 心を許すほどに、その恐怖は大きくなっていったけど、それ以上に誰かと一緒にいられる幸せ、その魅力に私はいつの間にか、彼女たち無しでは生きていく自信が無くなっていた。
「ずっと一緒ですよ、はやてちゃん」
 十の瞳に真っ直ぐ見つめらる。伝わってくる想いに満たされて、心がじんわりと温かくなっていくのを感じた。
「・・・・・・ありがとうな、みんな」
 はやては精一杯の笑顔でそう答え、勢いよく立ち上がる。
「よっしゃ! 今日はご馳走や!! みんなの好きなもん、ぎょーさん作ったるから楽しみにしててな」
 やったー!! とはしゃぐヴィータとリィンに微笑みながらリビングを出る。
 手伝いますよ、と立ち上がるシャマルの裾を、シグナムが掴んで制する。
「ええからみんなは座っとき。・・・・・・今日くらいは私が全部やるから」
 振り返らずに言いながら、はやては冷蔵庫へ急ぐ。
 その中身を確認する振りをして頭を突っ込んで、目をごしごしと擦る。
 でも、拭っても拭っても、溢れてくるものを止められなかった。
 これからも家族でいられることの嬉しさと安心。信じているつもりなのに彼女たちの心を確認してしまう情けなさと弱さ。
 全てが一緒になって涙腺を壊してしまったに違いない。
 こんなとこかっこ悪くて見せられない。
 ・・・・・・そうだ、玉葱を切ろう。
 とりあえずは、ヴィータとリィンの好きなハンバーグの仕込みから始めることにしよう。
 でも、ごめんな。たくさんのありがとう、を詰め込みたいのに、今日は少しだけ、味が薄くなってまうかも。



   ◇


 海鳴からは、もう冬が去ろうとしている。
 今日も、三月の割には暖かく、梅の木の桃色が前よりも力強く感じられる。それでもまだ海から吹き付ける風は冷たくて、身体を吹き抜けた風に思わず身を震わせてしまう。
 ・・・・・・なのは、ちゃんと暖かい格好で来るかな。
 連絡した方がいいかな、思ったよりも寒いから暖かくして来てね、って。
 時計を見ると約束の十一時まであと五分。・・・・・・ちょっと、手遅れかな。
 それならば、私のマフラーを貸してあげればいい。うん、それがいい。
 向こうからよく知る姿が走ってくる。そんなに急がなくても、約束の時間までまだ少しあるのに。
「ごめん、フェイトちゃん! 待ったでしょっ!」
 肩で息をするなのはに、そんなに待ってないよって。
 なのはの息が整うのを待って、そっとマフラーを捲いてあげる。
「走ってきて、汗かいたでしょ? 冷えると風邪引いちゃうから、今だけでいいから着けてて」
「・・・・・・ありがとう、フェイトちゃん」
 すんなり受け入れてくれたことが、嬉しい。
「ちょっと、歩こうか」
「あ、それなら」
 と、なのはがマフラーの半分を私の首元に。
「ほら、これでいいでしょ」
「でもこれ、短すぎないかな・・・」
 そういう仕様のマフラーじゃないから、明らかに長さが足りていない。
「くっついて歩けばいいよ、ほら」
 なのはがすっ、と身体を寄せてくる。
「・・・・・・だめ?」
 本当に、なのはには敵わないな。
「・・・・・・行こうか」
「うん!」
 何だかこれって、恋人同士みたい。
 なのははもう、私のことそう思ってくれてるのかな。・・・思ってくれてるのかも。
 って、ダメだ。また私ってばなのはの心に頼ってる。
 なのはは、じゃなくて。
 私から、私自身の意志で伝えないと意味がない。
 そうすればきっと、昨日よりは強い自分になれるはずだから。

「なのは、ここ・・・覚えてる?」
 そこは、私たちの始まりの場所。
「・・・・・・忘れるはず、ないよ」
 私はマフラーを外して、なのはへと戻す。
「フェイトちゃん?」
 振り返るなのはに、私は緊張気味の笑顔を向ける。
「なのは、聞いて」
 なのはは、うん・・・、と頷いて私に向き直ってくれた。
「あの時は、どさくさに紛れてだったから、ちゃんと・・・伝えたいんだ」
 なのはは黙って、私の言葉を待ってくれている。
「私、なのはのことが好き。・・・ここで友達になってくれた時からずっと、なのはのことが好きだった。これからもなのはのこと、ずっと大好き!」
 なのはの目を見て、ちゃんと言えた。なのはもちゃんと私のこと見ててくれた。
「ありがとう、フェイトちゃん。すごく、すっごく嬉しいよ。私もフェイトちゃんのことが大好き! 初めて会った時から・・・ずっと!」
 はにかみながらも、ちょっと差をつけてやろうっていうなのはの悪戯心が伝わってくる。
「あ、ずるい! 私だって初めて会った時から好きだったもん!」
「えー? 初めて会った時、私、フェイトちゃんに墜とされたんだよー?」
 う・・・、やっぱり覚えてるよね・・・。
「むー、なのはのいじわるー」
 お互いに顔を見合わせて、ぷっと吹き出す。
 終わってしまえば、どうしてもっと早く気持ちを確かめ合わなかったんだろうって思う。
「何だかバカみたいだねー。私たちってば、お互いに三年間も片思いだったんだよ」
 本当は知ってたのに。その本当を知るのが怖くて、随分遠回りをしてしまった。
「なのは、受け取ってほしいものがあるんだ」
 差し出した紙袋を受け取ったなのはに「開けてみて」と。
「・・・・・・これ」
「前に返してくれた、リボンだよ。あの時のなのはの気持ちが本当じゃないって、わかってるから、もしよかったら、なのはにまた貰って欲しい・・・」
「フェイトちゃん」
 私の名を呼びながら、なのはは自分の髪を結ぶリボンを解いていく。
 栗色の髪が風になびく。
「結んで・・・くれる?」
 そう言って差し出した黒のリボンを受け取り、
「喜んで」
 どうしてだろう。告白の時以上に胸が高鳴っている。
 このリボンは二人の始まりだから、これを結ぶことで、また始まるんだ。新しい二人の関係が。
「出来たよ、なのは」
 ちょっと、不格好だっただろうか。それでも、何だかあの頃に戻れたような感じがして、嬉しくなってしまう。
 ありがとうフェイトちゃん、となのはは私の両手をとって、その対の手で包みこんだ。

「私、高町なのはは、この結い紐が貴女の手によって解かれない限り、貴女の側にあり、生涯貴女だけを愛し続けることを・・・・・・誓います」

 その言葉を自分の中で反芻し、私はお腹の底から身体が熱されていくのを感じた。それは恥ずかしさと嬉しさを混ぜ合わせた、幸せというものかもしれなかった。
「・・・・・・じゃあなのは、私のも、結んでくれる?」
 私も、あの時解いたピンクのリボンを取り出して、彼女に差し出した。
「もちろん!」
 やっぱり、自分が結んだ時と同じで、結ばれることもまた同じくらい心臓がドキドキした。なのはも私が感じていたみたいに、緊張しているのかな。
「出来たよ。やっぱりフェイトちゃんにはこのリボンがよく似合うね」
 なのははちょっと満足げだった。そして、その両手をとって、自分の両手で包む。

「私、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは、この結い紐が貴女の手によって解かれない限り、貴女と共にあり、生涯の全てを懸けてあなたを愛することを・・・誓います」

 おまけに、その額にそっとくちづけを。
 なのはは「にゃぁっ!」と間の抜けた声を出しておでこを押さえ、茹でたみたいに赤くなった。
「ふぇ、フェイトちゃん、ずるいずるいっ!!」
「さっきのお返しです」
「ふぇぇ、フェイトちゃんもいじわるだ~」
 と、また二人で吹き出して笑い合う。
「実はね、私からもフェイトちゃんに渡すものがあるんだ」
 正確には、渡すように頼まれたものなんだけどね、となのはは言う。
 何なのか見当も付かない私は首を捻る。
 はい、と差し出された書面と共に、なのはが笑顔をくれた。
「フェイトちゃん、執務官試験、合格おめでとう」
「・・・・・・あっ」
「もぉ、フェイトちゃんってば完全に忘れてたでしょう・・・」
 なのはの言うとおり、彼女に言われなければ未だに思い出していなかっただろう。
「よかったね、フェイトちゃん。夢が一つ叶ったね」
「ありがとう、なのは」
 そう、私は自分の夢へとその一歩を踏み出すことが出来た。
「なのははこれから、どうするの?」
 なのはは、んーとねー、とちょっと悩む。
「色んなことがあったから、多分、世界の見え方が変わる気がするんだ。だからとりあえず、自分のいる世界をちゃんと眺めて、自分でもちょっと色々と考えてみようと思うんだ」
 やっぱり、なのはは凄い。私何かよりももっと、ずっと先を見てる。
「それにやっぱり・・・」
 にっ、と笑って、私の胸に飛び込んでくる。
「今はフェイトちゃんと、いっぱい一緒にいたいもん!」
 耳元で「フェイトちゃん、大好き・・・」と囁かれると直接脳に響いて、何も考えられなくなる。「私もなのはのこと、大好き・・・」とうわごとのように呟く。

 視線が、交錯する。
 それが、合図。
「ずっと、一緒だよ・・・」
 距離が埋まっていくほどに、鼓動は早くなって。
 君の瞳の奥まで見えてしまいそう。
「離さないから、ずっと・・・」
 そして、私は目を閉じた。
 想いを確かめ合って、初めての触れ合いを、私は生涯忘れることはないだろう。



 それは、お互いのことが大切過ぎて近づけなかった不器用な二人の、長い長い片思いが終わるまでの物語。


 そして、想いを伝え合った二人が、これから紡いでいく物語のプロローグ。


 この先に何が待ち受けていようとも。この命ある限り―――


「なのは」
「フェイトちゃん」



 ―――あなたと、ともに。






(魔法少女リリカルなのはNightmare おしまい)


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まとめtyaiました【第十三話「あなたと、ともに」⑤】

一年近くにわたって続けてきましたが、ようやく最終回です。これまで読んでくださった方がいらっしゃったら、ありがとうございました!ということで『続きを読む』より、魔法少女リリカルなのはNightmare最終話「あなたと、ともに」⑤になります。

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No title

もう完全に引き込まれて最後まで一気に読んでしまいました。
途中で何度もボロボロ泣きましたw
本当に素敵で素晴らしいSSでした
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プロフィール

高町屋

Author:高町屋
高町屋は「魔法少女リリカルなのは」の二次創作を行う創作集団です。【Since 2008.11】

↓↓↓リリカルなのはの二次創作、同人活動をしている方、マイミク/マイピク募集中です。お気軽にどうぞ♪mixi pixiv Dolce

≪MEMBER≫
高町きよ:高町屋代表。企画・二次原案担当。とにかく筆が遅い。ふと気が付くと、脳内ではなのはとフェイトがいちゃいちゃしている。

木村由宇:高町屋絵師。HP管理人。振り回される方。苦労人。気が付けば一番精力的。どんなに忙しくても締め切りはちゃんと守る。見習え、代表。

幼専士タチバナ:真性のロリコン。ここ最近の高町屋の影の功労者。事務能力皆無の代表をサポートすべく、イベント参加率は絵師より高いかも。

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