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わたしのままとまま

「ヴィ、ヴィヴィオ?・・・これ、どうしたの?」
「せんせいにほめられたんだよ!!」
 えへん、と胸を張るヴィヴィオはなのはにも褒めてもらえるだろうと思っていたが、期待に反して歳若き母親は固まった動かない。
 何の気なしに目に付いた、ヴィヴィオの机の上にあった数枚の原稿用紙。添えられた赤の「よくできました」と数行のコメント。
「ふぇ、フェイトちゃーんっ!!」
 麗らかな休日の昼下がり。穏やかな家庭には不釣合いな悲鳴のような叫び声が響き渡った。


  わたしのままとまま


 『わたしのかぞく』   高町ヴィヴィオ
 わたしにはままが2人います。なのはままもふぇいとままもとてもつよくてやさしいです。わたしはどっちのままも大すきです。なのはままは――


「すごく良く書けてるね、ヴィヴィオ」
 最後まで読み終えたフェイトは笑顔で愛娘の頭を撫でる。
「えへへー」
 撫でられるヴィヴィオも得意げで。
「これがどうかしたの、なの…ひゃっ!!」
 突然の肌を刺す鋭い感覚に、素っ頓狂な声を上げる。どうやらお尻をぎゅぅ、と抓まれているようだ。
「痛い!痛いよなのはっ!!」
 いわれ無き暴力に、されるがままのフェイト。
「なのはまま、ふぇいとままいじめちゃ、めー」
 ヴィヴィオが救いの手を差し伸べると、なのははその手を放し、愛娘と視線を合わせるために屈み込む。
「違うんだよ、ヴィヴィオ」
 肩をがっちりと掴み、笑顔で語りかける母親の優しい姿にヴィヴィオは固まる。
 なのはまま、目がこわい・・・。
 子供ながらに、理解する。今ここで逆らってはいけない、と。
「ヴィヴィオ、ちょっとはやてちゃんのところに遊びに行ってようか?」
 今ここで逆らってはいけない。
「はーい」
 ヴィヴィオは素直に従い、ぱたぱたと部屋を出て行った。
「もぉっ!フェイトちゃんってば!!」
 扉が閉まるのを確認して、なのははフェイトに向き直り、それまで抑えていた感情を顕にする。
「えと・・・、なのは?どうして・・・怒ってるの…かな?」
 未だなのはの怒りの原因が分からないフェイトはちょっと動揺気味に尋ねる。
「だって、ヴィヴィオこれ学校のみんなの前で読んだんだよ!?」
 原稿用紙をはためかせ、悲鳴に近い声を上げる。

 なのはままはおかしを作るのがとても上手です。なのはままのしょうらいのゆめは、なのはままのままのお店でパティシエをすることです。わたしもふぇいとままも、なのはままの作るおかしが大すきです。

 ここまでは良い流れなのに。

 でもふぇいとままは、おかしよりもなのはままを食べたいと言いました。

「ヴィヴィオまだ小さいんだからあんまりへんなこと教えちゃだめ!!」
 なのははいつもフェイトに注意している。
 ヴィヴィオの前では「そういう」発言は控えるように、と。
 フェイトはうー、と唸る。

 いつも三人でおふろに入ります。わたしは自分でかみをあらうけど、ふぇいとままはいつもなのはままにあらってもらいます。ふぇいとままもなのはままも、いつもとってもうれしそうです。

 別段、感情の変化なんて意識していなかったけれど、第三者からはそんな風に見えていたのだろうか、となのはは思う。

 わたしもふぇいとままのかみをあらってあげたいけど、なのはままはかわってくれません。ふぇいとままのかみにさわっていいのはなのはままだけなんだよ、となのはままは言いました。

「なのは・・・」
 フェイトの顔がぽっと桜色に染まる。その表情が「私、嬉しいよ・・・」と言っている。
 そうだ、いつかヴィヴィオに聞かれたときにそう答えたことがあったなぁ、と思い返す。
「もう洗ってあげなーい」
 喜色を浮かべるフェイトの表情とその事実を公表された恥ずかしさが嗜虐心を刺激し、つい心にも無いことを言ってしまう。
「ひ、ひどいよなのは!!」
 責めるフェイトを無視して、なのはは原稿を読み進める。
 フェイトは気の済むまでなのはを罵ってから、なのはの背後から肩越しに原稿用紙を覗き込んだ。
 二人の頬が、触れる。

 なのはままとふぇいとままはよくちゅーをします。わたしもおやすみのときにするけど、ままたちのちゅーは長いです。ずっとちゅーってしてます。

 二人は意外そうに顔を見合わせる。
「・・・そう、なの?フェイトちゃん?」
「そんなことない・・・と思うけど・・・」
 これでも割と我慢しているつもりなんだけど・・・、という共通の想いが二人にその意見を認めさせない。

 ふぇいとままのほうがなのはままにちゅーをすることが多いです。でも、なのはままがごはんのしたくをしたり、おそうじをいている時に、ふぇいとままがいきなりなのはままにちゅーをして、ふぇいとままはなのはままにしかられます。ときどき、なのはままからふぇいとままにちゅーをすることがあります。そのとき、ふぇいとままはすごくうれしそうになのはままにだきつきます。

「子どもってよく見てるんだね・・・」
「・・・うん」
 フェイトのことを責めようにも、自分にも負い目があるため、相槌を打つことしかできない。
 フェイトをいつもしかりながらも、なのは自身込み上げる衝動を抑えることが出来ないことが何度かあった。
 ヴィヴィオがこの家にやってくるまでは、お互いの求めるままに・・・という感じだったが、話し合いの末、子どもの情操教育にはよくないからということで、ある程度我慢しよう、ということになった。・・・はずなのに。
 フェイトのある程度はどれだけ緩いんだ、となのはは思う。話し合いの前後でのフェイトの変化がなのはにはわからない。
 問い詰めたところで「だって、目の前になのはがいるんだから仕方ないよ!」とか言い出すから始末が悪い。
 結局我慢するのはなのはの方。なのはがフェイトを叱る内の半分は「フェイトちゃんばっかりずるい!!」が占めている。そういう溜まったフラストレーションが、時々なのはにフェイトの唇を奪わせる。
 そして、そういう時に限ってばっちり目撃されている。いつかフェイトを押し倒したところを見られてしまうんじゃないかと、ひやひやしている。
 これ以上読むのは精神的に辛い、となのはは読むのを中断する。
 ふと、欄外に書かれた赤のコメントが目に入る。

 とてもすてきなお母さんたちですね。また色んなお話を聞かせてね。

(酷い! 興味本位だ!!)
 怒りよりも『うあー、どうしよう』という悩みの方が頭を支配する。
「もう参観日に行けないよー!!」
 嘆くなのはは頭を抱える。
「大丈夫、私が行くから」
 諭すように、その頭を撫でるフェイト。
 どうもわかってくれている感じはない。
「フェイトちゃんは行っちゃだめー」
 どんな爆弾を投下されるかわかったものじゃない。
「・・・なのはには行ってほしくないな」
 ちょっと拗ねたようなその表情に、なのはは首を傾げる。
「どうして? フェイトちゃん・・・何かあった?」
「・・・だって」
 あの先生が・・・、とフェイトは口を尖らせる。
「先生? ヴィヴィオの担任の?」
 こくり、とゆっくり頷く。
「あの人、何かにつけてなのはに色目を使ってるんだもん。・・・なのは、気付いてないでしょ」
 身に覚えの無いなのははきょとんとしている。
 担任の先生はエイミィと同年代くらいの可愛い印象を受ける女の人だ。事情の複雑ななのはたちはかなりお世話になっている。そんな良い先生のイメージがフェイトの言葉と結びつかない。
「えー、嘘だー」
 またまたフェイトちゃんはー、となのはは焼きもちやきのパートナーを笑う。
「・・・嘘じゃないよ」
 それでもフェイトは真剣で。
「どうして?」
「なのはを好きな人はわかるよ。目を見れば」
 何故かフェイトの言葉は時々、根拠も無いのに真実味を帯びてなのはを納得させてしまう。
「そう・・・なんだ・・・」
 こういう時になのはは、自分が守られているんだな、愛されているんだなぁ、と実感出来てすごく嬉しいのに、その反面、恥ずかしくなってしまう。
「なのはは鈍感過ぎるんだよ」
 鈍感故に、なのはに忍び寄る影は多い。
 なのはが浮気しないことなんてわかっているけど、彼女に気がある人間を見つけるとフェイトはどうしてもその相手に見せ付けたくなってしまう。
 自分の絶対的な優位を。なのはが自分のものであることを。そして、自分がなのはのものであることを。
 あのコメントは彼女なりの精一杯の虚勢。
 可哀相な気もするけど、これだけは絶対に譲れないから。
「私、そんなに鈍感かなぁ・・・」
 これからは気を付けるね、と落ち込むなのはを思わず抱きしめてしまう。
「いいのっ、私はそんなにぶーいのなのはが好きだから」
 耳元で「えー、私はやだよー」と不平を漏らすがフェイトは取り合わない。どうせ治るはずがないのだから。
 だからなのはは『なのは』なのだから。
「なのは、これ最後までちゃんと読んだ?」
 ふるふると首を横に。
 そんななのはを見て、フェイトはくすりと微笑む。
「なのは、泣いちゃうかもよ?」
 フェイトの笑顔の理由が分からずに、なのはは再び原稿用紙を手に取った。
 顔を何度も羞恥に染めながら読み進めていたが、終盤に差し掛かった辺りから、様子が変わった。

 なのはままとふぇいとままがなかよくしていると、わたしもとてもうれしいです。ままたちにはこれからもけんかしないでずっとなかよくいてほしいです。

 なのはは反省する。さっきは心配かけちゃったんだな・・・、と。
 焦って感情に任せて、フェイトちゃんにあたるなんて私もまだ子供だな・・・。
「フェイトちゃん、さっきはごめんね・・・」
「気にしてないよ」
 私はいいから続き、と促されてまた文面に視線を戻す。

 本当のままじゃないけど、なのはままとふぇいとままがわたしのままでよかったです。

 こんな風に自分を母親と認めてくれる日が来るなんて思っていなかったなのはは、思わぬ不意打ちに涙腺が緩んでしまう。
 心が感謝で満たされる。
 ありがとうヴィヴィオ。私たちも、ヴィヴィオが私たちの子供で本当に良かったと思ってる。私たちに幸せをくれてありがとう・・・。
 
 早く大きくなって、なのはままにもふぇいとままのおてつだいをちゃんとできるようになりたいです。それと、まどうしになってままたちをたすけてあげたいです。そして―――

 ヴィヴィオの優しさに、涙は更に溢れて…。

 ――しかし。 

 次の一文を読んで、なのはは固まってしまった。


 わたしもままみたいなすてきなおよめさんをみつけたいです。


(おしまい)


あとがき

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高町きよ:高町屋代表。企画・二次原案担当。とにかく筆が遅い。ふと気が付くと、脳内ではなのはとフェイトがいちゃいちゃしている。

木村由宇:高町屋絵師。HP管理人。振り回される方。苦労人。気が付けば一番精力的。どんなに忙しくても締め切りはちゃんと守る。見習え、代表。

幼専士タチバナ:真性のロリコン。ここ最近の高町屋の影の功労者。事務能力皆無の代表をサポートすべく、イベント参加率は絵師より高いかも。

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